キミの記憶を失う日まで (ページ10)

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「私はなんて呼んだらいいかな？織山くんじゃ、お母さんも同じだしね」

「別に何でもいいですよ」

「なら、尚大くんって呼ぶね」

友達からですら呼ばれるのが恥ずかしい下の名前

だけど不思議と彼女に呼ばれるのは恥ずかしくも嫌でもなかった。

「じゃあ、尚大くん。今学校で勉強してる範囲を教えて？」

母親は何を思って俺に家庭教師をつけたのかが分からない

成績だってめちゃくちゃ良い訳ではないけどめちゃくちゃ悪い訳でもない

だから聞いたんだ。

「なんで俺のとこに来たんですか？」

「え？」
　
「いやっ。俺めちゃくちゃ成績悪い訳でもないし成績上げようとも思ってないし」

「尚大くんのお母さんに勉強見て欲しいって頼まれたの。うちの子ダンスばっかしてるから勉強と両立できるように見てもらいたいって…お母さんが言ってた、成績は上げなくてもいい。ただ勉強が出来てるか心配だって」

親からそう思われるほどダンスに熱を入れていたんだと気付かされる

「親を心配させないように勉強も頑張ります…」

「そうだね！分からないとこあれば教えるから何でも聞いてね」

教えてくれるなら、先生のことが知りたい

そう思ってしまった。

「何でも？」

「うん」

「じゃあ先生のこと教えてよ」

「へっ？」

「何でも教えてくれるって言ったじゃん」

「それは勉強のことであって…」

俺の言葉に困っているA先生が可愛いくて

困らせるのはいけないと知ってはいるけど

先生の気を引くには必要だったんだ。