キミの記憶を失う日まで (ページ2)

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「私ね、〇〇の大学に行こうと思ってるんだけど」

聞いたことない街の大学の名前を言われたって

どれくらい遠いか俺が知るわけない

「まだ親には言ってなくてね…湧、どう思う？」

どう思うって聞かれたってなんて答えたらいい？

賛成した方がいい？それとも行かないでって反対した方がいい？

どの答えが欲しいのか分からないままAの瞳を見つめながら黙ってしまった。

「いいんじゃない？Aが行きたいとこ行けばいいじゃん。」

「ありがとう、今度お母さんに話してみる」

「ちなみに何の大学？」

「獣医の大学だよー探したらそこが一番いいって」

小学生の時、近所に住んでて俺らのことをよく可愛がってくれてたお爺さんが飼っていた犬が死んじゃってその頃からAは動物のお医者さんを目指すって言ってたじゃないか…

好きな人の夢なら応援してあげたい

でも、来年からは彼女が隣にいないことを分かりたくなかったんだ。

隣にいる今が永遠じゃないことを分かっていたつもりだけど全然分かっていなかった。

ずっとこのままがいい、そう願っても遅い。

来年の春なんて来なければいい

こんなことを思ってしまう俺は最低なのかもしれない。