キミの記憶を失う日まで (ページ1)

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ずっと春だったらなぁ M.w ページ1

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「じゃあね、湧」

あの春は、俺にとって苦い記憶が胸の奥にずっとずっと媚びりついている。

忘れることができない君のことを思い出しては

「ねぇ早く歩いてよ、遅い」

「お前が荷物全部持たせるからだろ」

幼馴染のAとは生まれた時からずっと一緒で

保育園から小中高と同じ時間を過ごしてきた

そんな彼女に俺は愛おしい想いを長年馳せていた。

目の前に広がる桜でできた絨毯

「うわ〜綺麗」

Aとは毎年、近くの公園に咲いている桜を見るのが恒例でこれからも変わらないものだと思っていた。

「どっか場所見つけてお弁当食べよ」

「はいはい」

無邪気に笑う彼女が愛おしくてまた好きが増える。

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「うめぇ！」

「喜んでもらえてよかった」

「マジで美味すぎる」

Aが作ってくれたおにぎりや唐揚げ、卵焼きはどれも美味しくて手が止まらない。

Aのお母さんは仕事柄、夜勤があって昔は俺ん家で一緒に食べていたけれど高校生になって料理を覚えてからは少なくなった。

母さんの料理も好きだけど彼女の料理に今は胃袋を掴まれている。

「ねぇ、湧。2年の終わりに出した進路希望どうした？」

「あー、一応進学に丸したっけな」

「湧、進学にしたんだ」

「お前っ！バカにすんなよ笑」

「んふふ。ごめんね」

「ごめんって思ってねぇだろ」

何気に笑い合っている時間が幸せで

そんな時間が崩れていくことに気付かなかったんだ。