世の中にたえて桜のなかりせば (ページ2)

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次の日、私は新しい制服に身を包み久々の校舎に足を踏み入れた。

「おー東島、久しぶりだな！」

『先生！お久しぶりです』

職員室に行くと久々に先生たちの顔見て涙が出そうになった。
　
クラスに案内してもらう道中、久々の会話に嬉しくなる。

「東島が戻ってきて本当に良かったよ」

『本当ですか？みんな覚えててくれてますかね？』

「檜山や伊藤はずっと心配してたぞ」

『久々に聞く名前です』

「まぁ去年から、高校から入ってきた人がいるからな〜そいつらとも仲良くしてやってよ」

『はい』

入院してる間、学校の友達とは顔を合わせたくなくて連絡しか取っていなかったから、友達の顔を見るのは3年ぶりだ。

みんな、顔付きも大人っぽくなっているんだろうか？

幼いままで止まっている彼女たちに会えるのが楽しみだった。

「ほら、入っていいぞ」

先生に促され教室に入り見渡すと顔を知らない子がちらほらいた。

『東島Aです。よろしくお願いします』

「えっ？A！？」

『サナ？』

「うん、おかえりー！」

そう言って私に抱きついてきたのはずっと中学から仲の良いサナだった。

私のことを知っている人は歓迎ムードだったが、知らない人は置いてけぼりにされていた。

「ほら、伊藤、席戻れ」

「はーい」

「じゃあ東島の席は黒田の隣だな」

『黒田…？』

「ったく、誰か黒田を起こしてやれー」

先生に言われ、クラスメイトに揺さぶられダルそうに頭をあげた彼。

これが私と彼の出会いだった。