彼女は僕を好きにならない。 (ページ2)

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「ねぇちょっとその本読ませてよ」

遠藤さんの手に渡っていた本に興味を示す

「良いけど…はい」

どんなものなのかとても気になった。

中身は漫画で、パラパラ捲って軽く物語に目を通す。

サッカー部の先輩・後輩である二人が部室で男性同士の性交をする描写があり、少し気持ちが悪いと思ってしまった。

「ありがと…はい」

「今、気持ち悪いって思ったでしょ？」

「えっ」

「やっぱり、男の人には理解してもらえないよね…こういうのが好きだなんて」

ソンナコトナイヨなんてありがちの肯定的な言葉が喉まで出てきたものの口には出せず遠藤さんの言葉に対して何も返すことが出来なかった。

「誰にも言わないなら、何とでも思ってくれていいから」

趣味がバレて焦っていたさっきとは違って大人しく淡白だった。

今の立場は逆転しているように思えた。

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でも彼女が腐女子であることもなんとなく納得できた。

いつも遠藤さんと一緒にいる女子が男性アイドルやイケメン俳優に湧いているの対し、彼女はどこか冷めていた。

遠藤さんはうちの学年でもトップクラスの顔面を持っていて、整った顔面は表の顔で裏の顔があるように思えた。

その裏の顔が腐女子であるということ。

けど、彼女にはまだ裏の顔があると思う。

それを僕は無性に知りたくなった。