2章 蛍火 ページ10
「だから無理すんなって言ったじゃん！」
冷えピタの貼られた俺のおでこに、しめのデコピンがとんでくる。俺は横になったまま、おとなしくそれを食らうしかなかった。
昨日、俺は高熱をおして出社した。ちょうど次の日が休みだったから、1日踏ん張ればなんとかなると思ったんだけど、甘かったみたいで。
会社でぶっ倒れる、なんてことをやらかしてしまった。
しめはそんな俺を心配して、泊まり込みで俺の世話をしてくれたんだ。病院まで連れて行ってもらって、マジで申し訳ない…。
「だいぶ熱は下がったけど、今日はおとなしくしとけよ！」
俺は無言で頷くと、布団にもぐりこんだ。最近聞こえ始めたセミの鳴き声に耳を傾けながら、目を閉じる。
「…つく。まつく、起きて？お客さん来てるよ。」
「………ん。あれ、俺寝てた…？」
しめに肩を揺さぶられて目を開けると、そこには俺を見下ろす2つの顔。
…ん？2人？
「え、元太！？」
ベッドの横にはしめと、なぜか元太が立っていた。
「海斗！俺、心配したんだよっ…！」
そういえば、今日は元太と遊びに行く約束をしていたんだった。熱のせいですっかり忘れてた…。
「元太、ごめん！もう元気になったから、今度絶対遊びに行こう！」
「もう、元気になったの？」
うん。と返事をすると、元太は安心したのかへなへなとその場に座り込んだ。
「遊びに行くの、次の週末でいい？……あれ、元太？」
元太が全然反応しない。俺が戸惑っていると、突然元太の体が横に倒れた。
「え、元太！？…どうしたんだよ！なあ、元太！！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 223人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おさと(プロフ) - おもちさん» おもち様、はじめまして！コメント、とても嬉しく励みになります…！ありがとうございます！！これからも少しずつ更新してまいりますので、ぜひお付き合いのほどよろしくお願いいたします！ (2022年1月26日 16時) (
レス) id: c1210c5b99 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして！更新ありがとうございます。密かに読ませていただいてました。2人の関係性とても素敵です。これからも更新楽しみにしています！ (2022年1月25日 21時) (レス) @page32 id: 5462cacf1f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おさと | 作成日時：2021年10月3日 10時
