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酒飲もうとしてさ、先生にげんこつ食らった。
いつだか、元太はそう言って笑ってた。でも、それは出来心からのいたずらなんかじゃなくて、ボロボロになっていた元太の悲鳴だったんだ。
「叱っても叱っても無茶ばかりで、もう手に負えなくて。…でも、ある日急に言われたんですよね。」
1年くらい入院して、ちょうど20歳になった頃。
—俺、大人になる意味あんの？
「…たった、一言だけでした。それ以来、元太は見違えるようにおとなしくなって。」
反抗してくれていた方がまだマシでした、なんて医者らしくない言葉を言いながら、先生は握ったこぶしを白衣のポケットに戻した。
諦めたんだ、元太は。大人になるにつれて、勝手に広がっていくはずの世界を見ることを。
普通に学校に行ったり、普通に友達と飲みに行ったり。普通にバカやって、恋愛して。
普通の人生を送る元太の姿は、俺の頭の中でもはっきり描ける。それが余計に悲しくて、無性に嫌だ。
「…だから、久しぶりなんですよ。元太が無茶したのは。」
先生が、ゆっくりと振り向く。うるんだ視線につかまった俺は、身じろぎ一つできなくなった。
「俺に責められた方が、きっと楽になれますよね？あなたは優しい人だから。」
すぅ、と息を吸い込む音がやけにはっきり聞こえる。言葉の続きを、聞きたくない。耳をふさぎたい衝動に駆られるのに、俺の両手は少しも動いてくれなかった。
「でも、それはできません。だって、」
元太の心を生かしてくれていたのは、あなただから。
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おさと(プロフ) - おもちさん» おもち様、はじめまして！コメント、とても嬉しく励みになります…！ありがとうございます！！これからも少しずつ更新してまいりますので、ぜひお付き合いのほどよろしくお願いいたします！ (2022年1月26日 16時) (
レス) id: c1210c5b99 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして！更新ありがとうございます。密かに読ませていただいてました。2人の関係性とても素敵です。これからも更新楽しみにしています！ (2022年1月25日 21時) (レス) @page32 id: 5462cacf1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2021年10月3日 10時
