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「そんな簡単に嫌うわけないって。……それよりさ、早く家帰ろう?このままじゃマジで風邪ひいちゃうよ。」
「えぇ、せっかく抜け出してきたのに。……頼む!あとちょっとだけいさして!」
元太が必死の形相で両手を合わせる。ていうか、こいつ今サラッと抜け出してきたって言った…?
「う〜ん……。じゃあ、ほんとにちょっとだけな!」
俺は着ていた上着を脱ぐと、そのまま元太に羽織らせた。元太がよっしゃ!とガッツポーズをして、上着に袖を通す。
俺、やっぱ元太に甘いのかな…。
「…ねえ、海斗。」
「ん?」
「それ、一口ちょーだい。」
元太の視線が向けられてるのは、俺の左手。飲みかけのビールを持ってる方だ。
「え、飲めんの…?」
俺の言葉に、元太は笑いながら手をバツの形にクロスした。
「前に酒飲もうとして先生にバレたことあってさ。リアルにげんこつ食らった(笑)。」
「いや、何してんだよ。…ていうか、これ飲ませたら今度は俺がげんこつじゃん!」
「マジでぶっ飛ばされる(笑)。」
それだけはご免だ。ビールの缶を隠すように元太に背中を向けると、元太の楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
「…ねえ、海斗。」
「何だよ…。」
また酒をねだられるのかと思いつつ振り向くと、元太はもう俺の方を見ていなかった。その目が映してるのは、この丘から見下ろせる街の灯り。
「この感じ、やっぱ懐かしいよな。」
元太の言葉に、俺は頷くこともできなかった。この後元太が何を言い出すか、予想がついてしまっていたから。
「海斗。…なんで、海斗は地元離れたの?」
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おさと(プロフ) - おもちさん» おもち様、はじめまして!コメント、とても嬉しく励みになります…!ありがとうございます!!これからも少しずつ更新してまいりますので、ぜひお付き合いのほどよろしくお願いいたします! (2022年1月26日 16時) (レス) id: c1210c5b99 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして!更新ありがとうございます。密かに読ませていただいてました。2人の関係性とても素敵です。これからも更新楽しみにしています! (2022年1月25日 21時) (レス) @page32 id: 5462cacf1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おさと | 作成日時:2021年10月3日 10時