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話し終わった元太がふぅ。と息をついたとき、急にたくさんの蛍が俺たちの目の前を飛び交い出した。
あの時と同じだ。元太に手を引っ張ってもらっていたあの時、めそめそしながら見いていた景色と同じ、幻想的な光景。
「…海斗。なかなか話せなくて、ごめん。」
元太の声が、急にまたか細くなった。さっきまでは、あんなに淡々とした声だったのに。
「話すの、正直怖かった。海斗の記憶の中にいるのは、元気だったときの俺なんだよなって思ったらさ…」
何匹か、蛍が元太のすぐそばを飛んでいる。そこまで明るくないはずの蛍火が、元太の顔をぼんやりと浮かび上がらせた。
「…でも、俺決めてるんだ。人生、思いっきり楽しんでやるんだって。どんだけ生きれるかはわかんねえけど、せっかく今生きてんだからさ。」
全力で、この命燃やしてやるよ。
静かに、でも力強く言い切ると、元太は前に歩き出した。一歩、また一歩、元太の気配が遠ざかっていく。
俺はとっさに元太を追いかけて、その手をつかんだ。
「海斗…？」
「…俺も、生きたい。元太と一緒に、生きたい。」
つかんだ元太の手を離さないように、力強く握る。しばらくそのままでいると、その手がパッと握り返された。
「当たり前じゃん。…海斗、いてくんなきゃ困るし。」
そのまま、元太は俺の手をひいて歩き出した。
暗い道を一歩一歩。変わらない手の温もりを感じながら、俺たちは前に進んでいた。
2章 蛍火 fin.
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おさと(プロフ) - おもちさん» おもち様、はじめまして！コメント、とても嬉しく励みになります…！ありがとうございます！！これからも少しずつ更新してまいりますので、ぜひお付き合いのほどよろしくお願いいたします！ (2022年1月26日 16時) (
レス) id: c1210c5b99 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして！更新ありがとうございます。密かに読ませていただいてました。2人の関係性とても素敵です。これからも更新楽しみにしています！ (2022年1月25日 21時) (レス) @page32 id: 5462cacf1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2021年10月3日 10時
