S.tiger【病系短編集】番外編

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Side龍也


とても、しずの言葉とは思えなかった。


何も考えてないって、なに？バカにしてんの？


龍「俺だって……」


さすがにムカついてすぐに言い返そうとしたけど、最後まで言い終わらないうちにしずは部屋を出て行ってしまった。

バタン、と乱暴にドアを閉める音だけ残して。




龍「…あぁ、もう！！」


どこかにこのイライラをぶつけたくなった俺は、近くにあった椅子を思い切りけった。


龍「っ！…いって〜！」

椅子をけった瞬間足に走った痛みに、思わずうずくまる。やべ、やっちゃった…。



倉「お前、何やってんだよ！？」

うずくまってる俺のところに、まつくが駆け寄ってきた。


龍「…っまつく、いつからいたの？」

倉「お前が、ちょうど椅子けっ飛ばした時！…ていうかその足、痛めてる方の足じゃねえの！？」


…うわ、バレてた。





実は、ちょっと前に右足痛めちゃったんだよね。まあ、少しくらい痛くてもステージには上がれるし、大したことじゃないと思ってたんだけど…。



倉「ていうか、なんでそんなにイライラしてたんだよ？…なんか、しめらしくねえな。」


は？俺らしくないってなに？俺だって、ムカつくことくらいあるし。


まつくの言葉にイラっとして言い返そうとしたとき、俺はあることに気づいた。



「らしくない」


さっき、俺がしずに言った言葉と同じだ。



…そっか。俺の言い方がよくなかったから、しずが怒っちゃったんだな。

俺、しずに悪いことしちゃった…。

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