S.tiger【病系短編集】番外編

・ ページ36

Side龍也


電話を切った後、俺は急いで東京に戻った。



でも、俺は。


俺だけは、最期に間に合わなかった。









――――


龍「…なに、これ。」

宮「如恵留から。メンバー全員に書いてたみたい。」


如恵留がいなくなってから数か月後、ちゃかから渡されたのはピンク色の封筒。中には、如恵留からの手紙と小さなメモが入っていた。


『カーネーション。 みんなにも教えてあげてください。』


龍「カーネーション？」

メモに書かれていたのは、ちょっと謎解きみたいな文章。俺は、久しぶりに花屋さんに向かった。


手に取るのは、もちろん白のカーネーション。前と同じように、俺は店員さんに花言葉を聞いた。


「白のカーネーションは………」









店員さんに軽く頭を下げて、店を出る。一歩外に出た瞬間、思わず笑いがこみ上げてきた。


龍「…如恵留、かっこつけすぎ(笑)。」


俺の手には、白いカーネーションが一本だけ。温かい風が、花を小さく揺らした。




…みんなにも教えてってメモに書いてあったけど、メンバーにはしばらく秘密にしちゃおう。如恵留の愛、少しだけ独り占めしてもいいよね？



龍「…いいじゃん。『おかえり』って言ってくれなかった罰だよ。」



冗談っぽく言いながら花の下の方を軽く指先ではじいて、また歩き出す。さっきより少しだけ強い風が、トンと俺の背中を押したような気がした。





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カーネーション(白)：私の愛情は生きています









「花言葉」fin.

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