S.tiger【病系短編集】番外編

●花弁雪（桃×緑） ページ18

しめ×うみ


・notリアル設定

・シリーズ2作目「嫌いだよ」、シリーズ5作目「願の糸」の続編となります。読んだことのない方も、この機会にぜひお読みいただければ幸いでございます！


S.Tiger【病系短編集】2

S.tiger【病系短編集】5



※今回のお話は、全てうみんちゅさん視点で進みます。







―


「…もう、出てってよ！」


彼女に無理やり背中を押されて、アパートの外に出る。


久々に触れた外の冷気に、俺はブルッと体を震わせた。




…さて、これからどこに行こうか。

自分のアパートに戻るか。……いや、それはなしだな。俺の部屋には何にもないから。



大学に入って1人暮らしを始めたものの、俺は彼女の部屋に入り浸って、自分の部屋にはほとんど帰っていなかった。


そんな生活を始めてもう1年、……いや、もう2年近いか。あまりのだらしなさに、自分でも笑えてくる。





行く当てのない俺は、ただただ街中をぶらついた。

いつの間にかたどり着いた広場で手ごろなベンチを見つけた俺は、そこに腰を下ろす。



広場を見渡すと、そこには若いカップルがうじゃうじゃいて、わざとらしく光るイルミネーションにむらがっていた。


…ああ。そういえば今日、クリスマスイブだったな。





海人、いつもどこ見てるの？



彼女から何度も言われてきたセリフ。


他に好きな人いるの？なんて、聞かれたこともあったっけ。



海「どこ見てんだろうな…。」

ふぅ、と吐いた白い息は、ゆっくりと夜空へ昇っていった。

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