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「…お前さ、なんでクラのことそんなにガン見してるわけ？」
「え、？」
そんなに見てた？と海人に聞き返すと、海人だけじゃなく宮近くんも、松倉くん本人も大きく頷いた。松倉くんが血色のいい唇を指でこすりながら、首をかしげる。
「さっき学食で食ってきたばっかだから、海苔ついてるかも…」
「ううん！何もついてないよ、大丈夫！」
そう？と言いつつ、やっぱり気になるのか、松倉くんはスマホで自分の顔をチェックし始めた。その横顔を見ながら、やっぱり綺麗だなと思う。
肌荒れのない白い肌に、綺麗にひかれたアイライン。女子の私から見ても、うらやましい。
「…ほら、やっぱりクラのこと見てる。」
「あ、ごめん。」
「なに、クラのこと好きなの？」
「へ！？」
海人に思いがけないことを言われて、素っ頓狂な声が出る。慌てて周りを見たけれど、もともと小さい私の声は他の人には届いていないみたいだ。
「海人、そろそろ移動しよう？俺ら、次の教室遠いじゃん。」
そう言って立ち上がったのは、宮近くんだ。海人の紹介で、初めて知り合った大学の同級生。宮近くんは海人と同じ社会学部で、松倉くんは私と同じ文学部だけれど、宮近くんと松倉くんは高校時代から仲が良かったらしい。
３人とも下の名前が「かいと」で、それがよっぽど面白かったのか自分たちを「トリプルカイト」なんて言って、結構仲良くしているらしい。そしてなぜか、私も時々その３人の中に混ざることがあった。
「…あれ？ちゃかと海人は？」
「松倉くんが歯のチェックしてる間に、もう移動したよ。多分Ａ棟の方。」
「あぁ、そっか。」
気の抜けたような声で言うと、松倉くんは改まったように背筋を伸ばして座り直した。
「…それよりA、何かあった？」
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作者名：おさと | 作成日時：2023年3月18日 13時
