S.tiger【病系短編集】17

○きっと、弱さに似た強さ(赤×緑) ページ45

ちゃか×うみ



・リアル設定



・S.tiger【病系短編集】10「やさしい人」、S.tiger【病系短編集】16「笑顔の仮面をとかすのは」と同じ設定ですが、読まなくても問題のない内容かと思います。(宮近くん：自律神経失調症)











Side宮近





目を開けると、そこは真っ暗な世界だった。





はっと飛び起きると、どこかよそよそしい匂いが鼻をつく。握ったシーツの感触が自分の家のそれとは違うことに気づいて、俺はやっとここがツアーで来た地方のホテルの部屋だと思い出した。







ベッドから降りて、カーテンを開ける。外はまだ暗い。窓ガラスに、寝汗で前髪がくしゃくしゃになった、情けない自分の顔が映った。





胸に手を当てれば、Tシャツ越しにドクドクと嫌な振動が伝わってくる。最近、いつもこうだ。なかなか熟睡できなくて、やっと眠れたと思っても汗をかいて目を覚ます。何か嫌な夢を見たわけでもないのに、たいてい心臓がバクバクして気分が悪い。







これも、自律神経失調症の症状の１つだ。今までだって、なかったわけじゃない。









宮「…もう起きるか。」





時計を見れば、もう朝の５時を過ぎていた。今薬を飲んで眠れても、昼間に眠気が残ったらまずい。今日も昼夜２公演だし、いっそ早めに起きてシャワーでも浴びた方が気分もスッキリしそうだ。









そのまま俺はバスルームに直行して、ぬるめのシャワーを浴びた。お湯の流れる音を聞きながら、個々で部屋がもらえるようになってよかったなと思う。相部屋のメンバーがいないから、起こさないように気を遣う必要もない。







汗を流して、楽な服装に着替えて。今日の段取りを考える頃には、外が明るくなってきた。せっかく気分がよくなったはずなのに、太陽を見ると「また眠れなかったな」と少し焦りみたいなものを感じる。





俺はスマホをベッドに放り投げて、開けたままだったカーテンを静かに閉めた。

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