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Side如恵留
宮「それ、どういうことですか?」
驚きと焦りがない交ぜになったちゃかの声が、どこか遠くに聞こえる。
メンバーに詰め寄られて言葉を濁す役割は、今日は俺ではなく、マネージャーに変わっていた。
「本当は明日手術の予定だったんだけど、体調が……熱が出ちゃったらしくてね。念のため、延期した方がいいだろうって。」
手術日はまた追って連絡するそうだから、と言うマネージャーの声には、誰も返事をしなかった。どう反応をしたらいいかわからない、といった雰囲気のメンバーの中で、俺はこっそり息を吐く。
こんなことを言ったら怒られそうだけど、俺はどこかでこうなるような気がしていた。なぜ、と訊かれたら、上手く答えられない。でも、こういう言葉にならない感覚は、案外馬鹿にできないものだ。
メンバーには何も言わないで、しめのところに行こうと決めたのも、この理屈ではない感覚に背中を押されたからだった。
マネージャーからの報告を受けたこの日、俺は半ばメンバーを出し抜くようにして、仕事帰りに1人でしめのいる病院へ向かった。
面会謝絶になっていたらどうしようかと思ったけど、そうはなっていない。
病室に入ると、閉じていたしめの両目がゆっくりと開いた。
龍「……来ないでって、言ったのに。」
如「追い返せるなら、追い返してみろってんだ。」
わざとふざけた口調で言いながら、ベッド脇の椅子に腰を下ろす。熱で潤んだしめの目には、覇気がない。睨まれているのか、見つめられているのか、よくわからなかった。
如「体、しんどい?」
龍「…ちょっと、息、あがるかも、」
如「熱あるんだもんね、辛いよね。」
熱い息を吐くリズムは、たしかにいつもより忙しない。上手く機能していないしめの心臓には、俺が思うよりずっと大きな負担がかかっているんだろう。
強がることを諦めたしめの表情は、さっきより一層苦しげに見えた。
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麦茶(プロフ) - 返信までご丁寧にありがとうございます🥲おさと様は同じ書き手として雲の上の存在のような方だったので、おさと様に読んでいただけてるなんて感激です…!(;;)ありがとうございます!おさと様もご自分のペースで執筆頑張ってください! (2023年4月5日 0時) (レス) id: cb7d8de1c6 (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - 未来さん» 未来様、コメントありがとうございます!そこまで言っていただけるなんて、嬉しいです😭こちらこそ、初期の頃から素敵なリクエストをいただき、本当にありがとうございました!!未来様の作品も、楽しみにしております! (2023年4月2日 17時) (レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - 素敵なお話を毎度毎度ありがとう御座いました!😭 (2023年4月2日 7時) (レス) id: 08c89fe430 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - おさとさん!!いつもいつも楽しいお話をありがとうございました😭私自身何度もリクエストさせて頂き、とても楽しんで読ませて頂いておりました。おさとさんの物語、全て大好きです!連載は終わってしまい凄く寂しいですが、何度も何度も読み返させて頂きます笑笑 (2023年4月2日 7時) (レス) @page50 id: 08c89fe430 (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - 麦茶さん» 麦茶様、コメントありがとうございます😭とても嬉しいです、!作者の拙い話をお読みくださり、本当にありがとうございました!実は私、麦茶様のお話が大好きです…。お忙しい中とは思いますが、更新楽しみにしています!無理せず、麦茶様のペースで頑張ってください! (2023年4月1日 22時) (レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おさと | 作成日時:2023年1月21日 19時