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Side松倉
倉「元太、今日元気なくない?」
元「え、……いや、別にそんなことないけど。」
そう言うと、元太は気まずそうに手元のメニューに目を落とした。口がもごもご動いていて何か言っているようにも見えるけど、ちょうどお昼時で混み合ってる店の中じゃ上手く聞き取れない。
仕事大変なのかな、なんて想像しつつ、俺も適当にメニューを眺め始めた。看護師っていう職業柄、やっぱり悩みも多いらしい。元太は基本的に明るいやつだけど、こうして一緒に出掛けたときに少し水を向けただけで愚痴が止まらなくなることもある。
事故以来まだ仕事に行けていない俺からすれば、その愚痴でさえまぶしく思えるときもあるけど。それはもちろん、元太には内緒だ。
元「…あのさ、」
倉「ん?」
顔を上げると、いつになく真剣な顔をした元太と視線がぶつかる。なに?と聞き返すのと、元太のスマホが鳴ったのはほぼ同時だった。
元「…パパぁ、タイミング悪すぎ、、」
大きくため息をついた後、ちょっとごめん、と言って元太は席を立った。
なんだかんだで、ちゃんと電話に出るんだ。かわいいじゃん、なんて思いつつ、俺も自分のスマホを手に取る。心配性のちゃかにメッセージでも入れておこうと、トーク画面を開いたときだった。
倉「…っ、!」
急に心臓がドクドクと脈打ち出して、反射的に胸を抑える。スマホが床に落ちる鈍い音を聞きながら、俺は背中を丸めた。
まただ。最近よくある、この嫌な感じ。いつも急に胸が苦しくなって、少しだけ息もしづらくなる。
俺はテーブルの上にあるお冷に震える手を伸ばすと、いつもそうするように中の水を一気に飲み干した。
倉「…っ、ハー、ハー、」
こうすれば、いつもすぐに胸の苦しさは消えてくれる。でも、体のだるさはなかなか消えない。
ほとんどテーブルに突っ伏すような体勢で息を整えていると、手首に誰かの手が触れた。
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麦茶(プロフ) - 返信までご丁寧にありがとうございます🥲おさと様は同じ書き手として雲の上の存在のような方だったので、おさと様に読んでいただけてるなんて感激です…!(;;)ありがとうございます!おさと様もご自分のペースで執筆頑張ってください! (2023年4月5日 0時) (レス) id: cb7d8de1c6 (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - 未来さん» 未来様、コメントありがとうございます!そこまで言っていただけるなんて、嬉しいです😭こちらこそ、初期の頃から素敵なリクエストをいただき、本当にありがとうございました!!未来様の作品も、楽しみにしております! (2023年4月2日 17時) (レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - 素敵なお話を毎度毎度ありがとう御座いました!😭 (2023年4月2日 7時) (レス) id: 08c89fe430 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - おさとさん!!いつもいつも楽しいお話をありがとうございました😭私自身何度もリクエストさせて頂き、とても楽しんで読ませて頂いておりました。おさとさんの物語、全て大好きです!連載は終わってしまい凄く寂しいですが、何度も何度も読み返させて頂きます笑笑 (2023年4月2日 7時) (レス) @page50 id: 08c89fe430 (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - 麦茶さん» 麦茶様、コメントありがとうございます😭とても嬉しいです、!作者の拙い話をお読みくださり、本当にありがとうございました!実は私、麦茶様のお話が大好きです…。お忙しい中とは思いますが、更新楽しみにしています!無理せず、麦茶様のペースで頑張ってください! (2023年4月1日 22時) (レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おさと | 作成日時:2023年1月21日 19時