○○な彼。【短編集】

すぐ拗ねる彼 ページ12

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「A、今日はついにあの日なので。
えーっと、約束。…覚えてる？」



仕事に向かうために靴を履いている背後で
大きな影が揺れる。



振り返らなくてもわかる、

…多分、腕組みしてる。


あ、ほら、してる。


そして眉間のシワすごっ。





「あの日…えっと、会社の忘年会。」


「そう、このご時世に会社の忘年会。

んー、まぁそれは色々な事情があるんだろうから
本当は嫌だけど百歩譲っておいといて、約束は？」



「22時には帰る。
最悪終電までには必ず帰る！

でしょ？分かってるって、もー。」


「ねぇー今めんどくさいって
心の声聞こえたんだけどー」


　


ひかると付き合ってから

果たしてこの会話は何度目か…


もはや記憶にない。



面倒だなんて思ってないよ、これは事実。




「大丈夫だよ、
ひかるに心配かけるようなこと
わたしもしたくないから。お互いにね。」




そういうと、ちょっと困ったような

でもうれしそうな顔をして見送ってくれた。






そしてわたしは約束をしっかり守って

終電で帰宅し、また彼の元へ戻った


……はずなのに……


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