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温度差で汗をかいたペットボトルを受け取り蓋を開けるとカシュッという音がした。冷えた清涼飲料水を喉に通して体が冷えていくのが気持ち良い。
「あ、A後で俺もちょうだい」
「え、1本しか買ってきてないの？」
「自分の分買うの忘れてたわ」
「ふーん」
飲み終わったホカリをシャークんに渡すとぶるーくは不満そうな顔を浮かべていた。もしかしてぶるーくもホカリ飲みたかったのかな…？後で飲ませてあげよう。
「シャークんそういう所はずる賢いよね」
「何のことやら」
「A僕もホカリちょうだい〜」
「暑い〜」と言いながら浴衣の襟をパタパタさせる時に鎖骨がチラついていて、つい視線が行ってしまう。本当に同い年とは思えない色気だな。飲み終わった後に口の端に付いた水滴を親指で拭う仕草に不意にも胸がキュンと鳴る。
「え、俺ぶるーくと間接キスすんの嫌なんだけど」
「変な被害妄想やめてくださーい」
『か、間接キス……！？』
「もしかして、そういうの気にする人だった？」
気にしている訳では無い。どちらかと言うと全く気にしないし潔癖症な訳でも無い。だけど改めてそう口に出されると一応女子として恥ずかしさがある。日頃から友達として関わってきた筈なのに、今みたいな特別なイベントとなると話は別だ。普段と違う彼らのギャップによく分からない感情が湧いてくる。
「A…大丈夫？しんどい？」
心配そうに眉を下げ顔を覗き込むぶるーくの顔が思いの外近くて、驚いて距離を取ってしまった。『大丈夫だよ、』と返すと安堵したように「じゃあもうちょっとだけゆっくりしようか」なんて、こんなのまるで彼氏と彼女のやり取りみたいじゃないか。意識しなければいい、そう思っていても顔の熱はなかなか引いてくれなかった。
「熱？ちょっと悪い、」
「あ、ちょっ、シャークん、」
何かを制止しようとするぶるーくの声がしたと思いきや、おでこにひんやりと冷たい感覚。自分のおでこと私のおでこに手を当てて熱を測るシャークん。すると隣から腕を引かれて冷たい手が離れていったと思いきや、今度はぶるーくの腕にすっぽり収まったようだ。脂肪が付いていなくて少し硬い。
「は、ぶるーく何してんの」
「先にやったのシャークんだよ？」
「熱測ってただけだけど？」
「それでもだよ、絶対分かっててやってたじゃん」
「それはお互い様だろ？」
両者一歩も引かず、今年の夏祭りは平和に終わりそうにない。
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作者名：U酸 | 作成日時：2018年10月16日 4時
