甘い、甘すぎる。

#44 ページ45

in





「 えっと…… 」


「 なんてね、冗談です。半分本気ですけど 」






気にしないでください、なんて言ってパッと手を離してスタスタと持ち場に行ってしまったやまだくん。


いきなり過ぎてただボーッと突っ立ってただけだけどやまだくんが言ったことを理解するのに時間はそんなにかからなかった。








．









「 あ、伊野尾先輩！ 」







委員会の仕事の時間が終わり、帰る支度をしていたら後ろから俺を呼ぶ声。





「 あ、中島くん。どうしたの？なんか忘れ物？それとも別の本探してる？ 」

「 いや、違うくて伊野尾先輩に聞きたいことが… 」

「 え、俺？ 」







俺、中島くんに何かしたかな？！







「 今日、やまと何かありました？ 」


「 へ？ 」


「 ほら、急遽ミーティングあったじゃないですか。やまと何回か話すタイミングあったんですけど、ずーっとボーッとしてるっていうか、考え事してるみたいで…珍しいから、やまがそういうことするの。


だから伊野尾先輩と何かあったのかなー？なんて思いまして…何も無いなら俺の考えすぎかなと思うんですけど ｣









急遽サッカー部のミーティングがはいったやまだくんは、仕事を抜けてそっちに言ったんだけど、なんでボーッとしてたんだろう…思い当たる節がひとつも…あ、






「 あるっちゃある… 」


「 え？」


「 いやっ、なんでもない！やまだくんとは何も無かったから俺は関係ないかも…中島くんの考えすぎじゃないかな？ 」





一つだけある、俺が山田くんに問い詰められた時、半分本気とか何とか言ってたような…





「 そうですか？ならいいんですけど…こんな時間なので俺も帰りますね！わざわざすみません、ありがとうございます 」



「 あ、うん、気をつけてね 」







一礼してペコッと丁寧にお辞儀をして帰る時もわざわざ俺が見えなくなるまで手を振ってくれる中島くん。



なんて紳士だ……









．



お久しぶりです
また更新再開します

よろしくお願いします。




なす



．

#45→←#43

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す