百二十五話 ページ5
その後、鴨野の戦いの結果は歴史通り、幕府軍が鴨野占拠という形で収束した。この時の時間遡行軍の動きは、豊臣軍を撃退させた一番の要因である鉄砲隊を襲撃、更に豊臣が設置した三重の柵を最後まで守備するという策であったが、その策にいち早く感付いた第一部隊が徳川の使いの者と名乗り遡行軍に対処した為、その目論見は無事に崩れる事となった。
その後は真田丸の戦いに向けて、第一部隊は豊臣側と徳川側、その双方を監視する為に二手に分かれる事にした。
話し合った結果、豊臣には一期、鯰尾、薬研。
徳川には鳴狐、後藤、骨喰が付く事に。
この時点では特に歴史に改変は無く、九度山にて隠居生活を送っていた真田信繁も大阪城に入城を果たしている。時々遡行軍が徳川陣営に現れ戦力を削ごうとしたり、闇に紛れ家康本人を狙う等したものの、鳴狐達の活躍でそれも防げている。
ここまでは本当に順調なのだ。
「……」
「いち兄、どうしたの？」
「…少し、静か過ぎると思うんだ」
「静か過ぎる？」
「勘、としか言えないが…」
戦が近付いてきた事によって人々が離れていった城下町。その一角の影に一期と鯰尾、薬研が集まり状況整理を行っていたが、一期は浮かない表情で顎に手を当てていた。
「……」
「何となく言いたい事は分かるよ。ここまで派手な動きをしてこないの、実は俺も気になってた。なんか、やってる事がチマチマしてるっていうか」
「いち兄。気になるとこがあるならきっちり洗った方が良いぜ。そういう勘は馬鹿には出来ん」
「………うん、そうだね」
薬研と鯰尾に促され、一期はこんのすけにこれまでの記録や重要人物の行動を映した映像を見返すよう指示した。真田信繁、大野治長、豊臣秀頼、淀殿、真田信幸、徳川家康、此度の戦に関わる全ての武将や関係者の行動を隅から隅まで調べ、正しい歴史とどこか行動が異なる点が無いか比較し続けた。
しかし一見すると特に歴史の流れに些細な変化等は見られず、今のところ正史の範囲内であるのは確か。それでも一期は腑に落ちず、直接豊臣陣営内に忍び込み重要人物達の気や思考を己の目で見定め、徹底して違和感の正体を探った。
―――結果、一期の勘は的中していた。
「………これは…」
「…奴さん等、確かもうちょい保身的じゃあなかったか？」
「なんか、異様に豊臣側の士気が上がってるよね…」
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まゆみ - ふてくされ、他の人に迷惑だから出て (4月11日 22時) (
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作者名：渚 | 作成日時：2023年4月25日 22時
