百七話 ページ19
皆が首を傾げていると、廊下を駆けてくる軽い足音が聞こえてきた。その足音は粟田口部屋の前で止まり、そのまま襖が開け放たれる。
「骨喰さん、鯰尾さん！此方にいらっしゃいますか!?」
「こんのすけ？二人なら此処にいるが、どうしたんだ？」
そこにいたのは少しばかり慌てた様子のこんのすけ。只ならぬ雰囲気に皆の注目が集まる中、鯰尾もノロノロと顔を上げた。
「主がお二人をお呼びです。今すぐに執務室までお越しください」
「え、主が？」
突然の指示に皆が目を丸くする。勿論これには鯰尾も驚き、弾かれた様に机から体を引き剥がした。
昨日の出来事があったにも関わらず呼び出しとは、一体何事だろうか。しかも鯰尾のみならず骨喰まで呼び出す理由が分からない。皆がどよめく中、骨喰がおずおずとこんのすけに尋ねる。
「……兄弟はともかく、何故俺も？」
「詳細については主と一期一振さんがご説明なされます。兎に角至急向かわれて下さい」
「いち兄が？」
一期一振がAと共にいる事に再び皆の目が丸くなる。全く状況が掴めていないが只事ではない事だけは確からしい。行くという選択肢以外無い以上、いつまでもいじけている訳にはいかない。
「…兄弟」
「………」
骨喰の呼び掛けに、鯰尾は腰を上げる。正直億劫ではあるが、こればかりは仕方がない。昨日の件についての話だったならば素直に謝って切り抜けよう。今度こそ間違った言葉を発さない様にAとの会話をシュミレーションしながら、鯰尾は骨喰と共にAのもとへ向かった。
――――――…
執務室の前までやって来た二振り。若干鯰尾は緊張気味であるが、それでも構わず骨喰が目の前の扉を開ける。
「主、いち兄、来たぞ」
「骨喰、鯰尾。待っていたよ」
中には机の前で座っているAと、それと対峙する様に立つ一期一振の姿があった。双方ともに表情が硬く、Aに至っては気不味さを感じてなのか目を伏せたまま誰とも視線を合わせようとしない。この様子を見るに、二振りを此処に呼ぶよう促したのは一期一振の様だ。
「一体何があったんだ？」
「実は緊急事態でね…、時間遡行軍が現れたんだ」
その言葉に先程までとは違う緊張感が走った。
この場に集められたのは戦の招集の為だったらしい。しかし何故この二振りなのか。その答えも直ぐに分かった。
「―――座標は慶長十九年の大阪。ここまで言えば分かるね」
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渚(プロフ) - 蜂蜜パスタ(閲覧垢)さん» 蜂蜜パスタ(閲覧垢)さん、コメントありがとうございます！絵を描いてる分更新が遅いですが、褒めていただけると本当に嬉しいです。今後も応援宜しくお願い致します！ (2022年12月9日 6時) (
レス) id: 317a1afa0e (このIDを非表示/違反報告)
蜂蜜パスタ(閲覧垢)(プロフ) - 話が読みやすく、かつ設定もよく練られていてとても面白いです。絵もお上手ですね。情景がひしひしと伝わってきます。応援しています(*^^*) (2022年12月9日 4時) (レス) @page24 id: c07d8ae3cf (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - ライチ@あんみつ神！さん» ライチ@あんみつ神！さん、今作初コメントありがとうございます！久々のコメントでとても糧になります！更新は相変わらず遅くなるかもしれませんが、なんとか完走出来る様に頑張ります！ (2022年8月8日 13時) (レス) id: 317a1afa0e (このIDを非表示/違反報告)
ライチ@あんみつ神！ - この作品大好きです！更新頑張ってください！ (2022年8月8日 9時) (レス) @page16 id: 605309b64c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：渚 | 作成日時：2022年1月21日 12時
