百一話 ページ13
そうして話している内に辿り着いたのは、畑の裏手にある森の中の散歩道。ここは短刀達が隠れんぼによく使う場所であり、時には太刀等のもの達が散歩に訪れる、緑豊かで穏やかな空間だ。今の時期であれば強過ぎる日光を遮り涼む場として最適な場所であるが、今は暗闇に飲まれつつあり何処か薄ら寒く、蜩が辺りで忙しなく鳴いていた。
「さて、では鯰尾君の悩み事とは？」
此処であれば大丈夫だろうと二人は歩みを止め正面を向き合う。鯰尾の前に立ち彼の言葉を待つAは、先程までと打って変わって静かに柔らかな笑みを浮かべている。その雰囲気が鯰尾には一期一振と似ている様に思えた。
「実は兄弟達の事でちょっと」
「おぉ？喧嘩でもしたん？」
「じゃなくて、最近みんな元気が無くてですね」
Aが皆を避けているかもしれないから、とは言わない。そう言ってしまえば理由を問う際に彼女は真実を暈してしまう可能性がある。理由は分からないが何故か彼女はそうする気がするのだ。少しずつ慎重に、あまり関連性の無い話題から回り込み相手の心理を突く事を心に留め、鯰尾は一度息を深く吐き出し言葉を選んだ。
「Aさん、ここの所ずっと仕事ばかりしてません？」
「え？まぁ言われてみればそうかもだけど……お？急にその話に持ってくって事は、もしかして皆の元気が無いってのは…」
「なんだ分かってるじゃないですか。そう、Aさんが仕事の野郎なんかと浮気してるからですよ！」
「えぇ!?そんな浮気なんて…私そんなつもりじゃあ…！」
「Aさんにそのつもりが無くても、それが原因である事に変わりわないんです。現に兄弟達が声を掛けても仕事仕事って、俺達より仕事の方がそんなに大切なんですか！」
「皆の方が大切に決まってるじゃないか！でもどうしても仕事はやらなきゃいけないんだよ。審神者としてそちらも大切な職務である事は分かるだろう？」
「そう言って結局そっちを優先するんでしょ！もういいわよそんなに仕事が大切なら仕事と結婚すればいいじゃない！そうやって放ったらかして私達の気持ちなんてどうでも良いんでしょ！」
「そんな事無い！皆の事は当然愛しているとも！世界中の誰よりも！命を掛けても良い！なんなら仕事が増える原因である遡行軍をこれから掃討しに行く事もやぶさかじゃない一狩り行ってくるぜ！」
「
「これがグッピーなら死ぬ温度差ってやつか」
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渚(プロフ) - 蜂蜜パスタ(閲覧垢)さん» 蜂蜜パスタ(閲覧垢)さん、コメントありがとうございます！絵を描いてる分更新が遅いですが、褒めていただけると本当に嬉しいです。今後も応援宜しくお願い致します！ (2022年12月9日 6時) (
レス) id: 317a1afa0e (このIDを非表示/違反報告)
蜂蜜パスタ(閲覧垢)(プロフ) - 話が読みやすく、かつ設定もよく練られていてとても面白いです。絵もお上手ですね。情景がひしひしと伝わってきます。応援しています(*^^*) (2022年12月9日 4時) (レス) @page24 id: c07d8ae3cf (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - ライチ@あんみつ神！さん» ライチ@あんみつ神！さん、今作初コメントありがとうございます！久々のコメントでとても糧になります！更新は相変わらず遅くなるかもしれませんが、なんとか完走出来る様に頑張ります！ (2022年8月8日 13時) (レス) id: 317a1afa0e (このIDを非表示/違反報告)
ライチ@あんみつ神！ - この作品大好きです！更新頑張ってください！ (2022年8月8日 9時) (レス) @page16 id: 605309b64c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：渚 | 作成日時：2022年1月21日 12時
