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ご褒美 ページ24

一度だけ聞いた事がある。太宰はAに頻繁に……という訳ではないが、接物をする。然も、必ず唇ではない場所。頰だったり、額だったり、稀に首元だったり。
気になったAは思い切って聞いた。
「何故唇にはしないの?」
其れを聞いた太宰は少し目を見開き驚いた。直ぐに愛しいものを見つめるかのような瞳をして、自身の人差し指をAの唇に触れた。

「して欲しいの?」
其の回答はAにとって意外なものだった。
「そういう訳じゃない……けど……」
「ふふ、冗談。何故唇にはしないか、だったね。其れは君を傷つけたくないからさ。こんな汚れた私の欲で、君を汚したくない。第一、私たちは有無を云わさずに結婚した。私は勿論問題ないが……君の心のことを考えてあえてしないのだよ」

ーーー

彼は優しい。Aは其れを誰よりも判っていた。優しいから……自身には勇気がないから。Aは心の底から思った。
好き……だと。
結婚してまだ3ヶ月。つい此の間迄は太宰のことが苦手……嫌、嫌いだった。初対面なのに、いきなりの結婚で彼はAを想っていた。意味が判らない。だけど、其の優しさを見ているといつの間にか好きになっていた。
手をつないで欲しい、抱きしめて欲しい、そして……ちゃんと唇に接物して欲しい。

そんなことを考えていると、太宰は思い出したかのようにあ、と声を上げる。
「そうだ、A。訓練が終わったご褒美としてとあるところに招待してあげよう」
「招待……其れは何処……」「さあ行こう!」
太宰はAの腕を引いてマフィアタワー入り口まで走り、事前に太宰が頼んであっただろう部下が運転する車に乗り込んだ。

ーーー
「BAR ……ルパ……ン?」
「そう。ほら早く! みんな待ってる!」
太宰はいつもより嬉しそうに声を上げている。みんな、ということは誰かがいる訳だ。幹部と飲む仲寶、相当お偉いさんなのは確かだ。Aは気を引き締めて太宰の後に着いて行き、入り口に繋がる階段を降りた。

「やあ、織田作、安吾」
待っていたのは2人の青年。赤いような髪色で砂色の外套を着ている青年、丸眼鏡が特徴の灰色の背広を着ている青年だ。
「太宰か」
「太宰君、其方のお方はもしや……」
安吾は太宰の後ろにいるAに気付いたようだった。
「そうだよ。私のお嫁さんだ」
「えっと……A。太宰Aと申します」
Aは緊張気味に自己紹介をした。

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鏡音ののり - 控えめに言って神です! (2019年3月22日 8時) (レス) id: 9f03a4e99e (このIDを非表示/違反報告)
味の素(プロフ) - 続きが読みたいです! (2018年7月14日 23時) (レス) id: d5befd4dfc (このIDを非表示/違反報告)
ナタデココ(プロフ) - 気長に待ちます← 高校合格おめでとう御座います! (2018年4月29日 19時) (レス) id: 67a39a2c5a (このIDを非表示/違反報告)
燈火@トモシビ(プロフ) - 受験お疲れ様でした。これからの展開、すごく楽しみです! (2018年3月17日 18時) (レス) id: 8eb3f635ae (このIDを非表示/違反報告)
れいか(プロフ) - 頑張ってください!応援してます! (2017年10月10日 1時) (レス) id: 95ec296d00 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆんゆん | 作者ホームページ:http://touch.pixiv.net/member.php?id=17622667  
作成日時:2017年5月3日 12時

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