政略結婚【太宰治】

お母さん ページ19

「此処はこうするのじゃ」
「はい、了解しました」
Aは紅葉に書類整理のやり方を教えて貰っていた。
「A…書類の整理は初めてかえ？」
「はい…其れが如何かしましたか？」
紅葉はAを心配そうに見つめる。Aには何故其の様な表情を見せるのか全く理解できなかった。

「若しかして…人を殺めた事がないのではないのか？」
Aは此の言葉を聞いて鳥肌を立たせる。人を殺したことがない…そんな人はマフィアには必要ないのではないのか。殺されてしまうのではないのかとAはギュッと目を瞑った。
すると、急に手に温もりを感じた。目を開けると、紅葉が優しく暖かい目でAの手を握っていた。
「そうか…そなたの手は白く、綺麗なのであるな」
紅葉は昔の事を思い出している…そんな感じがした。
「A…此の手をずっと、永遠に汚さないと誓ってくれぬか？私の様に黒く、闇の世界に堕ちて欲しくないのじゃ」

『A…貴女だけは手を汚さないで＿＿』

何故か母の遺言がフラッシュバックした。Aの目には涙が溢れてしまう。紅葉はいきなり泣いてしまった為、少し動揺していた。
「如何かしたのかえ！？A」
「お…お母様…」
Aの一言が聞こえたのか、紅葉はAをそっと、母親の様な雰囲気で抱きしめた。
「そうか…母親の事を思い出してしまったのじゃな。私でよければAの母親の様に接してくれてもいいぞ」

「あり…がとっ！」
Aは暫く紅葉の腕の中で泣いた。



姐さんの口調って難しいね…原作片手に頑張ってるけど、太宰さんしか見えない病にかかってる…

終了→←姐さん （テスト勉強している方、必読！）

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