白雪姫と王子様

白雪姫と王子様 39 ページ39

、







重「…………なぁ」








お茶を部屋に運んできてからも、




未だ重岡さんを見ることは出来なくて








声を掛けられた瞬間、ﾋﾟｸｯと不自然に反応してしまった。









重岡さんに背を向けている状態でお茶を注いでいる私を









重岡さんは優しく、包み込むように後ろから私を抱き締めた。









A「重、岡さ、ん…」








重岡「………なんで、




目ぇ合わせてくれへんの、？」









耳元で、静かに発されたその声に





なんて答えたらいいのかも分からず、






ただ、ぐるぐると言い訳ばかりが浮かんで来る。









重岡「…俺ら、結婚、するんやで？」









そんなこと、分かってる。







でも今は、その事にさえ気が回らないくらい








心はﾎﾞﾛﾎﾞﾛだった。









A「…………分かって、ます」







そう答えたのを境に、沈黙が流れた。









でも、回された腕はそのままで









しばらく、重岡さんの香りを感じてた。









なんで、だろう。









今は、重岡さんに抱き締められてて、









重岡さんのことを、考えてるはずなのに









なんで、









、









小瀧くんの顔が、浮かんで来るの…？

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