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「な、な、な……っ!い、今わざと…足っ!足引っ掛けましたね!危ないです!意味不明です!大丈夫ですか!!」
「色気ゼロ」
そらるさんの空色の双眼が私の慌てた顔をしっかりと映していて、私の下に寝っ転がるそらるさんは冷静でいつもと変わらない
「取りあ───」
「取り敢えず、口開けて」
「なぜ……」
「はい。さん、にー、いち」
「ちょっ!」
私が開ける開けない関係なしに、問答無用でそらるさんの人差し指が私の口に突っ込まれた
「なひひへふんへふか!」
「責任取って貰ってるだけ。はい、口閉じてー」
そらるさんの指が勝手に私の口の中をあちこち動き回って、でも私だって言いなりになるのは嫌だから口を閉じずに頑張って
でも…けど……
「お嬢さん、唾液が溜まってますよ」
「ひゃか…!」
仕方なく口を閉じて、溢れんばかりの唾液を飲み込むとじわっと鉄の味がした。
私は慌てて、床に着いていた手をそらるさんの指を引っこ抜くのに使う
掴み取ったそらるさんの人差し指からぷくりと赤い血が出ていて、それがどうしたものなのかすぐにわかった
私がシャーペンで刺しちゃったのだ
「因みに全く痛くはないから」
「……罪悪感に苛まれてます。」
「可哀想」
目の前の濡れている──私のっ…だ、唾液なんですけどもっ…!── そらるさんの指が変にいやらしくて、もう何から対処すればいいのか分からずただただそらるさんの手首を両手で掴んだまんまになってしまう
「謝りたいならキスがいいですねー」
「半分はそらるさんが悪いんですよ。」
「俺悪くなくない?Aが足をすくわれたのは事故だろ」
「その理論が通じるなら、私が刺してしまったのも事故です」
「上に乗りながら言われてもなぁ」
なんで私が悪いかのような…そりゃさ、そりゃさ…私も刺しちゃったの悪いけどさ
「キスしたいだけでしょ、そらるさん」
「ムラムラさせた、Aが悪い」
(それで、やっぱり相合傘は消しゴムに書く派なんだね)
(み、み、見たんですか!?てか消しゴムどこやったんですか!)
(ないしょ)
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スピカ(プロフ) - わぁ、好きな作者さんがこんなに・・・! (2021年5月5日 13時) (レス) id: 990b6b3e69 (このIDを非表示/違反報告)
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