したいだけでしょ。【srr】×パール ページ6
.したいだけでしょ。
「Aさーん」
「重いです。熱いです。近いです。」
「シャンプー変えた?」
「オイルを変えました、離れて」
「あーなるほどね、俺は前の方が好き」
「友達から貰ったんだけど、そういうなら止めます。
取り敢えず……、離れなさいっ!」
私がガタッと大きな音を立てて席を立つと、私に寄りかかっていたそらるさんが重力に従って倒れていくのが見えた
そしてさすがの瞬発力で私の机にしがみつき、床に頭を打ち付けるのは何とか阻止していた───
夕陽がさす秋暮れの教室
閉まっている窓から運動部の掛け声が漏れ聞こえ、逆に私とそらるさんだけしかいないこの教室は静かだった
「これは不可抗力というか……そう!そうだ、自己責任ってやつですよ!これは!!」
机に捕まったまま全然動かないそらるさんに、文句を言われる前にと早口で言い訳を連ねる
あまりにも動かないので心配になるけど、でもそらるさんの事だ。どうせ私をからかっているに違いない
でも私の罪悪感は芽生える一方で、半歩だけ近づいて様子を伺ってしまう
「えぇっと……そらるさん?あの……えっと…。大丈夫…ですか……?」
「───あぁー、ビックリした」
そらるさんは何事も無かったかのように普通に椅子に座り直し、清々しいまでになんでもないふうの顔をして私を見た
ん?どうしたの?とでも言いたげなその顔に、どうしようもなく遊ばれてる私が可哀想になる
「暇なのは分かりました。でもあとちょっとだから、そこで待っててください」
私も自分の席に座り直して、机に広がるやりかけの宿題を見やった
あと2問だ。
10分ほどで終わる計算である。
宿題をやらずに遊びまくっていた昨日の自分に腹を立てつつ、シャーペンを握り直した。
「俺が解いてあげよっか?」
「字でバレたら怒られる…」
「Aの字ぐらい真似できるよ」
「そう言って夏休みの宿題 バレて怒られました」
私は典型的な勉強しない学生群なので、夏休みの宿題は31日に行われる戦争で決まるのだ
もちろんそんなのお構いなしに隣に座るこの先輩が遊びに誘ってくるし、宿題あるから無理ですって言っても手伝ってあげる。で片される。
そして手伝ってもらった宿題は無事先生によって不正が暴かれ、お呼び出し。説教。追加課題。の確定演出に入るのだ
もう2問で終わるんだから、今回はそんな賭けに出る必要はない
そもそも前々からやっておけって話なんだけどね
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スピカ(プロフ) - わぁ、好きな作者さんがこんなに・・・! (2021年5月5日 13時) (レス) id: 990b6b3e69 (このIDを非表示/違反報告)
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