・ ページ28
***
「ねぇ、Aどこにいるか知ってる?」
「さぁ?トイレとかじゃない?」
「そっか、ありがと」
と、まぁこんな感じでセカンドキスを奪われた後、私は5日間天月を避けていた。クラスが違うのでうまく行っていただけだと思うけど。
1日目、2日目は図書室に行かず、天月の方も私が用事でもあるのだろうと気にしなかったようだが、3日目、4日目になると流石におかしいと感じたのかメッセージをよこしてきたがそれを全部ガン無視。そして5日目、今に至ると言うわけだ。
「んで、あんたこれいつまでやんの?向こう絶対気づいてるわよ」
「そんなんわかってるってぇ………」
友人の協力のもと、5日目の今日何度も何度も訪れてきている天月を追い払ってもらっているが、そろそろ気づいてきてると思う。いやそれはわかってるけど、一回避けていた手前、いつそれを言うかタイミングを測っているのだ。
「しかも避けてる理由がキスされるからとか、どんなバカップルの喧嘩の理由よ」
「…だってキスされるから」
「むしろ幸せすぎてそれもう惚気でしょ」
そんなわけがない。
これを相談というか、信じられねえあいつという感じで友人に言うと、なんでお前そんな愛されてんのに悩んでんのみたいな感じで全員に呆れた顔をされるのだ。いやこれもう切実に悩んでるから言っているのだけど。
「まぁ、悩みなんて当人にしかわからないけどね、とりあえず天月くん可哀想だから、そろそろ図書室行ってあげなさいよ」
「いやだから、絶対なんかされるんだって」
そう言うと、目の前にいる友人はあのねぇ…と肘をついて呆れたような表情でこちらを見る。いやだからマジでそれを悩んでるんだって本当に。
友人も友人で私が馬鹿みたいな内容だが真面目に悩んでいるのだと察した手前つよく、早く図書室行ってこいよと言えないのだろう。まぁ私の性格上、こんな風に他人の行動にいやになったら無視すると言うよりは、直で本人に言って関わらないようにするから尚更。
けれども、やはりこの内容でうじうじされるのも友人はめんどくさいようで呆れながら、早く行けと目で訴えてくる。
行かないといけないのはわかってるけど、行きたくない。そんなことを友人に目で訴えかけると、友人は私に追い討ちをかけるようにして言った。
「まぁ、あんたが行きたくないって言うのはわかるけど、明日日曜日で休みでしょ?家、来られるわよ」
「図書室行ってくるわ」
55人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
スピカ(プロフ) - わぁ、好きな作者さんがこんなに・・・! (2021年5月5日 13時) (レス) id: 990b6b3e69 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ