・ ページ20
.
こういうと自慢のように聞こえるが
私は多分彼と仲がいい。
きっかけは、こう同じで。
放課後に調理室を借りてお菓子を焼いていたら
お腹を空かせてた部活終わりの坂田君が
いい匂いがするー…とやってきたのだ。
それからも、定期的に私のところに
お菓子を強請りに来て…
いや、餌付けとは言わない。
「…なぁ、A。昼これから?」
「これからっていうか……これでお腹いっぱいになるかなぁって。」
「え、俺めちゃくちゃ食ってもうたやん!ごめん!」
「大丈夫だよ、もともと作りすぎたなって思ってたし。むしろ坂田君食べてくれるかなって少し多く作ったの。」
「それはめちゃくちゃ嬉しいんやけど……そうや!」
何かをひらめいたように自分のカバンの中から
何かを探そうとしている坂田君。
そのかばんから落っこちるようにして
出てきたのは……
大量のパンだった。
「パン?そんなに食べるの?」
「んなわけないやろ!朝来るときにパン屋のおばちゃんにもらってん!これ、一緒に食べよ?」
「うん、じゃあいただこうかな。」
ちょうど焼きあがって粗熱が取れた
マドレーヌと、菓子パンを並べて
お互いに向かい合って座れば
ちょっとだけおしゃれなお昼ご飯だ。
昼休みに調理室が開いているということは
めったにないから、誰もここには来ない。
ちょっとした秘密の空間になっていることに
坂田君は静かでええわ、と無邪気に笑っていた。
55人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
スピカ(プロフ) - わぁ、好きな作者さんがこんなに・・・! (2021年5月5日 13時) (レス) id: 990b6b3e69 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ