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「ただいま…、学校………」
はい、無事に戻ってきました。本っ当に恥ずかしかった。真っ赤な顔は真っ赤っかに昇格している。
はぁ、と大きなため息をつきながら自分の下駄箱へ。さ、はやく履き替えて今度こそ帰ろう。今日はなんだか散々な目に合っている。
不意に視線を上にあげた。足が衝動的に止まる。
人がいる。人がいた。私の下駄箱の真前に、なんなら寄りかかって立っている。
志麻先輩_______
「………せ、んぱ」
「あ、帰ってきた」
「え、な、どうして……」
「いや、上履きのまま走ってったから、帰ってくるんやろなぁ思って待ってた」
「そ、そうですか…」
おかえりと微笑まれた。
人生でこんなにも穴があったら入りたいと思ったことはない気がする。
「で、俺、Aに聞きたいことあるんだけど」
急に話を変えられた。
先輩はカバンの中からサッとなにかを取り出す。
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「これ、Aやろ?」
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あの白い封筒だ。
「……えっと………、」
「ん?」
「……な、なんのことでしょう?」
逃げられるわけがない。頭ではそう理解しているもののとぼけてしまう。そうです、だなんて言えるか。
「………」
次の瞬間、先輩は封筒から手紙を取り出した。え、なに。
口を大きく開き、すぅー……と息を吸う。
…………ちょっと待って。
「志麻先輩。突然のお手紙失礼しま___」
ああああああああああああ!!!!!! という私の叫び声が響き渡った。
「そうです私ですそれ書いたの私ですごめんなさいすみませんでしただから読まないで!!!!!」
「最初からそう言えばええのに」
「言えるわけない!!!」
「なんで?」
「なんで!!??」
どういう状況なのだろうかこれは。
ひとつ分かるのは、“ 存分にからかわれている ”、ということだけだ。
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スピカ(プロフ) - わぁ、好きな作者さんがこんなに・・・! (2021年5月5日 13時) (レス) id: 990b6b3e69 (このIDを非表示/違反報告)
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