【utit】青春を取り戻せ【大型コラボ】 (ページ2)

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私の婚約者の話。【mfmf】×ゆゆページ2

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『失礼しまーす……』

がららっと大きな音をたてる立て付けの悪いドアを開けると、席に座って棒付きキャンディーを舐めながらスマホをいじっている彼の姿が目に入る。

私の存在に気づくとぱあっと顔を輝かせて嬉しそうに微笑んでくれた。かわいい。

「先輩お疲れ様です！」

『ちょっとHR長引いちゃって遅くなっちゃった、ごめんね』

もし彼が犬だったら今すごい尻尾ぶんぶん振ってるんだろうなぁと思いながらサラサラの髪の毛を撫でる。

まぁ何を隠そう、
彼は私の婚約者と呼ばれる人である。

「いえ！僕も先生のところ行ってから来たので！」

鞄を置いて、いつも通り彼の向かいの席に座って。

目の前のこいつは私の動作全てをニコニコと見つめてから意気揚々と鞄の中を漁り、いちご味の棒付きキャンディーを私に差し出した。

「どうぞ！」

『ありがとう、テストどうだった？』

「思ったよりできました！」

『ほんと？一緒に勉強した甲斐あったね』

まぁ婚約者というよりは親の決めた ” 許嫁 ” というのが正しいが、会って話していく内に打ち解け、最近彼に告白されて正式に付き合うことになった。

つまりはまぁ婚約者と言っても相違ない。

「あんまり人に教えてもらうことないのでなんだか新鮮で楽しかったです」

『クラスの子に教えたりしないの？』

「僕どちらかと言えば教える側なので」

『なるほど』

婚約のことも付き合ってることも基本的には周りに秘密なので、こうしてほぼ使われてない国語準備室で密会する日々。

廊下で会っても目を合わせるだけでスルーされるけど、今日会えて嬉しかったです！ってニコニコしながら報告してくれるから寂しいなんてこともない。

浮気なんてするのもされるのも縁がなさそうだし、他の高校生カップルに比べたら平和な方だと思う。

平和。

そう、私たちはびっくりするくらい平和で、それでいて。

『次のテスト前は私の家おいでよ、一緒にやろ』

「いいんですか！」

『うん、お母さんも喜ぶよ』

「えへへ、楽しみー！」

高校生らしいことを、何一つしていないのである。