８６ページ ページ36
＊
どうして、わたしばかりこういう目にあうんだろうか……
わたしは扉の近くで体育座りをしてそう考えていた。
暖房のついていない空き教室はとても寒い。
防寒具を着ていないから、手も足も指先は冷えてる。
何とか暖まる方法はないかと必死に頭を回転させて考える。
カーテンで包まるとか……
いや、却下だな。
カーテンめっちゃ汚いし……蜘蛛いてそうだし……
ああ、どうしよう……
って考えてると、ポケットの中で携帯が震えた。
メッセージは八重からで、『どこにいるの？』というひと言。
私は慌てて、メッセージアプリを開いて、八重に西棟とひと言送った。
三階の空き教室にいる。と文字を打って、送信ボタンを押そうとした瞬間、画面が真っ暗になってしまった。
「……充電切れちゃった」
こんなことになるなら、誰かにモバイルバッテリーかりて充電しておくべきだった……
きっと、今頃、みんな授業してるよね。
みんな、放課後に探してくれるかな……
ぎゅうっと膝を抱え込み、顔をうずめた。
＊
「はあ…、Aちゃんどこにいるんだよ」
一人で教室を飛び出した俺は、Aちゃんが居そうな場所を手当り次第探していた。
けど、一向にAちゃんの姿は見つからない。
「おい、景光」
どこ行こうか……と足を踏み出した瞬間、俺を追いかけてきたのか、汗をかいた零がやってきた。
「零」
「宝木、いたか？」
俺は黙って首を横に振る。
そんな俺を見た零はそうか、と発し、顎に手を置いて何か考え出した。
……思い当たるところがあるんだろうか。
拳を強く握りしめた瞬間、ポケットの中の携帯が震えた。
見れば、めったにメッセージのやり取りをした事の無い真壁さんからで、メッセージは『A 西棟』という単語だけだった。
……そういえば、携帯があったか。
忘れてた。
携帯をポケットに滑り込ませて、零に西棟行くぞ！と声を掛けて、俺は西棟へと走り出した。
……待ってて、Aちゃん。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 371人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キャラメル(プロフ) - 完結おめでとうございます！！もう大好きです!新作たのしんできますっ！これからも頑張ってください(^^♪ (2020年6月5日 18時) (
レス) id: b8ac5a9a04 (このIDを非表示/違反報告)
よる - 完結お疲れ様ですっ！では新作行ってきます！！ (2020年6月3日 23時) (レス) id: e10e6d9ba2 (このIDを非表示/違反報告)
イアデビル(プロフ) - うわぁぁあ！！諸伏endお疲れ様です！！とても面白くてドキドキしました！推しが尊い！他の作品と応援しています！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: ef5404f845 (このIDを非表示/違反報告)
天雪(プロフ) - うぉぉ！諸伏endおめでとうございます！ほかの作品も応援してます！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: 9e97a6dad3 (このIDを非表示/違反報告)
スコッチ - おんなじパスワードで小説を作りたいんですけどどうすればいいですか (2020年5月27日 1時) (レス) id: 38b46500a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜凛 | 作成日時：2020年5月17日 20時
