ツンデレ上司のおとしかたいち (ページ8)

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杉沢「お、海じゃん。」

末澤「今から行くカフェも海沿いなんですよ。」

杉沢「末澤くんにしてはセンスいいね」

末澤「一言余計です」

俺が運転、先輩は助手席。

隣で車窓に肘ついて外を眺める先輩は、彼女そのもの。

横顔整いすぎやろ。はぁなに、もう好きです。

…あかん、思わず口から漏れるとこやった。

1人で茶番を繰り広げながらも着いた海辺のカフェ。

ここは景色も綺麗だし何より美味しい。

末澤「先輩、着きましたよ」

杉沢「あれここ、前話題になってたとこだよね。」

末澤「そうですそうです」

杉沢「 1回行ってみたかったんだよね。来て良かったわ」

出た、杉沢先輩のギャップ。

俺を惚れさせるのも程々にしてくれ。

カフェ行くまでの道のりでいくつのギャップを拝んだか？

いーち、にーい、と数えつつ、からんころんとドアを開ける。

思いのほか人は少なく、窓辺の席を確保。

杉沢「何食べよっか。てか末澤くんここ来たことあるの？」

末澤「何度か。ここショートケーキ美味しいんですよ」

杉沢「ふーん。なら私ショートケーキで。あとカフェラテも。」

末澤「俺はショートケーキにコーヒーにします」

「「すみませーん」」

偶然、重なる2人の声。

先輩は、一瞬驚いたような顔をして、それからすぐに笑って

杉沢「被せてこないでよね(笑) 」って。

それから俺の頬が少し赤色だったことには、気づいていないで欲しい。

◆

杉沢「ん！これおいしーね」

届いたショートケーキを美味しそうに頬張る先輩。

食べ方も上品だし、口の端にクリームついてるのも可愛いし、

色んなとこ含めて、普段の先輩からは想像もできない。

末澤「ご満悦のとこ悪いですけど、着いてますよ。口。」

杉沢「え、ホントじゃん。」

そう言ってぺろっと舐める先輩

その仕草までもが可愛いです。

杉沢「末澤くん、誘ってくれてありがとうね」

末澤「どういたしまして。今日は俺、奢りますから」

杉沢「私次このロールケーキ食べる」

末澤「財布の心配してくださいよ」

杉沢「明日お昼奢るか選びなさい」

末澤「気の済むまでお食べ下さい」

それから先輩は、やってきたロールケーキも平らげ

おなかいっぱい、とあのにやにや笑いを浮かべて

別れていった。

去り際、目の端に寂しげな先輩が写ったのは

気のせいだろうか。