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杉沢 「 大事な話？ 」
きょとんとした顔で聞き返す先輩。
当たって砕けろ、と心の中で踏ん切りをつけて、次の言葉を声にする。
末澤 「 単刀直入に言います。 」
「 俺、杉沢先輩のことが好きです。やから、俺と…… 」
「 付き合ってくれませんか？ 」
声が震えて震えて。聞き取れる日本語だったのかもよう分からんくらいの。
先輩はと言うと大きな瞳を更に大きくして、数秒、固まっていた。
終わったんかな、これ。
と思った矢先、思いもよらない一言が先輩の口から出た。
杉沢 「 実は私も……なんだよね、 」
「 だから、今誠也くんが好きって言ってくれてめっちゃうれしい。 」
末澤 「 てことは……？ 」
杉沢 「 こちらこそ、好きです。これからよろしくお願いします……？ 」
「 ごめん、告白されるの何気に初めてやから、 」
末澤 「 んは(笑)こちらこそよろしくお願いします(笑) 」
2人であははっって笑いあって。その時間が本当に幸せで。
今目の前に居る女性はもう上司やなくて、彼女なんやなって、まだ夢みたいで。
またカルボナーラを美味しそうに食べる先輩は、
少しだけ頬が赤く染まっていた。
杉沢 「 あんま見んといて？恥ずかしいわぁ、 」
末澤 「 いいじゃんすか、かわいいから 」
杉沢 「 え、は、 」
急にしどろもどろになる先輩。言われ慣れてないんかな。
告白されるのも初めてやって言うてたし。
杉沢 「 別に、いや、まあ、 」
さっきとは打って変わって、ぎこちなくパスタを食べる仕草。
唇の端にホワイトソースまでつけて。
末澤 「 先輩、口、ついてますよ 」
杉沢 「 どこ？ん、あれ？ 」
指で口周りを確認する先輩にいたずらしたくなって、
思わず身を乗り出して、自分の指で唇を拭った。
杉沢 「 んなっ…… 」
末澤 「 ふふ、彼氏なんやから。こんなこともさせてくださいよ 」
杉沢 「 でも…… 」
照れてそっぽを向く先輩が、
か細い声でぽつりと「 かっこいいから… 」って言ってたのが聞こえてたことは
秘密にしておこう。
◆
杉沢 「 誠也くん、今日はありがとね 」
末澤 「 いえいえ、送っていきますよ。危ないんで。 」
杉沢 「 いやぁ、悪いよ。明日も仕事だし。早く帰りたいでしょう？ 」
末澤 「 だいじょーぶです。 」
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作者名：鈴川ゆら | 作成日時：2023年1月20日 21時
