45-1 現代タケミチsaid ページ30
「ナオトぉお!!」
倒れたナオトに駆け寄れば、腹部から血が服ににじみ出ていた。
「ちっ、余計な事を…」
稀咲が何か言っているが、そんなことを気にしてられず、ナオトの上半身を抱き上げる。
「しっかりしろ、ナオト!!」
「タケミチ君…」
「逃げて…」
ナオトは今にも死にそうな顔で必死に口を開いてオレにそう告げる。
「オイオイオイ」
稀咲のいる路地の奥から靴音を鳴らしながら近づいてくる男がいた。
「橘ナオトは俺が殺すはずだろー?」
「稀咲ー」
模様の違うピアスをつけた褐色の男が稀咲の名を呼ぶ。
「すまねぇ"イザナ"、
イザナと呼ばれた青年は徐にA君に近づいた。
「お勤めご苦労、社長ー」
そう言いながらイザナはA君の被っていたであろう短髪黒髪のかつらを取れば、A君の長い白髪が重力に従って落ちた。
「ネズミ捕りとはいえ長く離れすぎたな、イザナ」
「(え…?)」
するとイザナがA君に何かつけていた。
「やっぱそれがないと、"兄ちゃん"らしくない」
「(
「
二人の会話の内容に理解が追い付かない。
なぜそんなに二人が仲がいいのか、A君は偽名まで使って身を隠してまで
「…わけわからねぇって顔だな、花垣」
A君がオレと同じ目線に合わせるようにしゃがむ。
「言っただろ、"オマエには絶望した"って…」
「敵を欺くにはまず味方から…」
「イザナと稀咲、万次郎以外には"俺が
「そこに警察も血相変えて俺の事を探しだした」
A君は再び立ち上がり、イザナの横に立つ。
「目論見は成功、獲物もしっかりかかってくれた」
「けど…」
「…………」
A君は口を閉じ、顔を俯かせた。
そこにイザナがA君の肩に腕を置き、口を開いた。
「お前らは
「殺した」
「(俺の、マイキー…?)」
「鶴蝶ー!」
イザナはカクちゃんの名前を叫ぶと、イザナ達が現れた路地からカクちゃんが現れた。
「カクちゃん……?」
「"
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作者名：倖那 | 作成日時：2021年10月21日 20時
