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「よーし、みんな集まれー!!」
佐野道場におじぃの声が響き渡る。
「真一郎!!」
「じいちゃん声でけぇな」
「A!!」
「(うるさ…)」
「万次郎!!」
「エマ!!」
エマと呼ばれた女の子をチラリと見た。
「オマエらは今日から兄妹だ!!」
「え?」
真もまたエマの事をみる。
「いや、なんでオレも入ってんだよ…」
「外人じゃねぇの?コイツ」
「エマって変な名前」
そう呟いた万次郎におじぃのげんこつが飛んできた。
「仲良くしろよオマエら!!!」
そう言って道場から出ていったおじぃ。
「いってー」
「ハハ、マンジローは女心がわかってねぇな」
「よし!エマ、兄ちゃんがどっか連れてってやる!」
「イケメンだからって惚れんなよ?」
「変な髪型」
その言葉に真が撃沈する。
「ぷぷっ」
「シンイチローは女心わかってねぇな」
「うっせ!!」
「おい、A何とかしろ!」
「無理」
オレはその場で立ち上がった。
「万次郎はともかく、真はダセェ」
「はぁ!!?」
「オイ」とエマに声かければ、少し肩をびくつかせる。
「すぐ慣れないのはわかってる」
「無理やり慣れようとすんな」
オレはそれだけを言って、道場から出ていった。
その後、いつも通りに真と学校に行き、放課後には道場に顔を出してみる。
そこには万次郎と同い年くらいのガキ共が空手を習っている。
その声が気になったのが、エマもそこにいた。
「よーし、そこまで!!」
おじぃの稽古を終わらせたガキ共は汗をかき、息を整えていた。
「圭介ぇ」
万次郎の幼なじみである場地圭介に真が声かけた。
「オマエ、ガキのくせに体幹ぶれねぇな」
「真一郎君!!」
「A君!!」
「バカでけぇ声だすな」
そそくさとおじぃから逃げていく真にため息をつく。
「ったく、アイツは悪さばっかりして、全然道場に顔を出さん」
「だから、アイツ喧嘩弱ぇんだよ…」
もう一つため息を吐いて、真を追いかけた。
去り際にエマの頭を撫で、その場を立ち去った。
「どうだエマは」
「少しはウチに慣れたか?」
「"普通にしよう"って振る舞ってる感じかなぁ」
「……そっか」
「笑わせてやりてぇな」
「そうだな」
「先出る」
「おう」
台所を後にした時、万次郎の姿を見て手招きした。
「……なんとかしてぇ」
「年近いからどうにかなるだろ」
ポンポンと頭を撫でた。
万次郎がマイキーという呼び名に変わり、エマの笑顔が増えたのは言うまでもない。
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作者名:倖那 | 作成日時:2021年10月21日 20時