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39-2 ページ19

「よーし、みんな集まれー!!」


佐野道場におじぃの声が響き渡る。


「真一郎!!」


「じいちゃん声でけぇな」


「A!!」


「(うるさ…)」


「万次郎!!」
「エマ!!」


エマと呼ばれた女の子をチラリと見た。


「オマエらは今日から兄妹だ!!」


「え?」


真もまたエマの事をみる。


「いや、なんでオレも入ってんだよ…」


「外人じゃねぇの?コイツ」
「エマって変な名前」


そう呟いた万次郎におじぃのげんこつが飛んできた。


「仲良くしろよオマエら!!!」


そう言って道場から出ていったおじぃ。


「いってー」


「ハハ、マンジローは女心がわかってねぇな」
「よし!エマ、兄ちゃんがどっか連れてってやる!」
「イケメンだからって惚れんなよ?」


「変な髪型」


その言葉に真が撃沈する。


「ぷぷっ」
「シンイチローは女心わかってねぇな」


「うっせ!!」
「おい、A何とかしろ!」


「無理」


オレはその場で立ち上がった。


「万次郎はともかく、真はダセェ」


「はぁ!!?」


「オイ」とエマに声かければ、少し肩をびくつかせる。


「すぐ慣れないのはわかってる」
「無理やり慣れようとすんな」


オレはそれだけを言って、道場から出ていった。
その後、いつも通りに真と学校に行き、放課後には道場に顔を出してみる。
そこには万次郎と同い年くらいのガキ共が空手を習っている。
その声が気になったのが、エマもそこにいた。


「よーし、そこまで!!」


おじぃの稽古を終わらせたガキ共は汗をかき、息を整えていた。


「圭介ぇ」


万次郎の幼なじみである場地圭介に真が声かけた。


「オマエ、ガキのくせに体幹ぶれねぇな」


「真一郎君!!」
「A君!!」


「バカでけぇ声だすな」


そそくさとおじぃから逃げていく真にため息をつく。


「ったく、アイツは悪さばっかりして、全然道場に顔を出さん」


「だから、アイツ喧嘩弱ぇんだよ…」


もう一つため息を吐いて、真を追いかけた。
去り際にエマの頭を撫で、その場を立ち去った。


「どうだエマは」
「少しはウチに慣れたか?」


「"普通にしよう"って振る舞ってる感じかなぁ」


「……そっか」


「笑わせてやりてぇな」


「そうだな」


「先出る」


「おう」


台所を後にした時、万次郎の姿を見て手招きした。


「……なんとかしてぇ」


「年近いからどうにかなるだろ」


ポンポンと頭を撫でた。
万次郎がマイキーという呼び名に変わり、エマの笑顔が増えたのは言うまでもない。

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作者名:倖那 | 作成日時:2021年10月21日 20時

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