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38-1 現代タケミチsaid ページ15

「マイキー君!!」
「…あの…」
「えっとお元気でしたか?」


「…ウン」


やっと会えた喜びに感極まって涙が出て、聞きたいことも言葉にならない。
「すいません」と涙を拭けば、「泣き虫は相変わらずか?」と前と変わらない声で言った。


「ここにわざわざ呼んだのは」
「"頼み"があってね」


「え?」
「"頼み"?」


マイキー君はその場で立ち上がって、この廃墟を見回す。


「ここにきて兄貴の事思い出したらさ」
「色んな思い出が溢れてきて」
「ガキの頃は色んな奴らと殴り合って」
「わかりあって笑いあって、泣いたりして」
「そうやって東卍(トーマン)は大きくなっていったんだなぁって…」
「懐かしくなっちゃった」


微笑むマイキー君を見て、会ってみて確信した。


「(やっぱりマイキー君はマイキー君だ)」
「(三ツ谷君を…みんなを殺してるワケない…)」
「(あの東卍(トーマン)のマイキー君が殺すワケない)」


そう考えてるとマイキー君がぽつりと呟く。


東卍(トーマン)は変わっちまった」


「……え?」


「タケミっち……」
「なんで東卍(トーマン)を出てったんだよ?」


マイキー君が何を言っているのか一瞬理解できなかった。


「一緒にいて欲しかった」
「兄貴のように叱って欲しかった」


「え?」


「なんとか一人で頑張ったんだ」
「でも抑えられなかった」
「オレがオレである事を」


マイキー君の言っている事が理解したが、どういう意味なのかわからないでいた。
マイキー君曰く、東卍(トーマン)を出ていくオレをマイキー君は引き止めようとした。
けど、ドラケン君と三ツ谷君がそれを止めた。
"マイキー君が選んだ道は修羅の道だ"
"ドラケン君も三ツ谷君もマイキー君に命を預けた"
"けど、タケミっちは恩人"
"巻き込まないでやってくれ"
そう土下座をしてまでドラケン君と三ツ谷君はマイキー君に頼み込んだのだった。


「あの二人が…そんな事を…?」


「ああ」
「最高の奴らだよな」


「そんな奴らをオレは殺した」


あってほしくないと願った事実はいとも簡単に崩れ去った。


「あの頃の東卍(トーマン)はもういない」
「アイツらはみんな……みんな」
「オレが殺した」


風が強めにふいたと思ったら、マイキー君の首元に"あのドラゴンのタトゥー"が施されてあった。
それが何よりも物語っていた。


「だから頼む…オマエが終わらせてくれ」

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作者名:倖那 | 作成日時:2021年10月21日 20時

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