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33-1 タケミチsaid ページ2

エマちゃんのおかげもあって、ヒナと仲直りできた。
初詣を一緒に行くことが条件付きで。
そして、マイキー君に一緒に走ろうと誘われたので、マイキー君のバイクに跨っている。


「(…マイキー君はやっぱ不思議だ)」


みんなといる時は怖くて近寄りがたいのに、こうやって二人でいると…なんか…穏やかでなんでも話してくれそうで…。


「マイキー君って親は?」


「ん?いねぇよ」
「じいちゃんとエマとAと4人暮らし」


「へぇ!!」
「おじいちゃん子なんですね!意外!」


「エマだけ母ちゃん違って、昔は別々に暮らしてたんだけどさ」
「あいつの母ちゃん、10年前くらいにウチにエマ置いてどっか行っちゃった」


マイキー君はさらっと言ってたけど、中身は中々壮絶だった。


「兄貴とAがオレら二人の親代わりだった」
「何するにも10コ上の兄貴とAの後ろついてってさ」
「色んな事を二人に教わった」



そんな話を聞いてふと疑問を口にした。


「A君って…いくつなんですか?」


東卍(トーマン)の創設時代からいるA君。
マイキー君達より年上なのはわかってはいたけど、いくつ離れているのか学校とかもまったくっていうほど聞かない。


「知らね」


「へ!!?」
「(知らないの!!?)」


「兄貴が7歳くらいの時に拾ったんだって」


「ひ、拾った…?」


「うん、それから一緒に住むことになって」
「今の名前も兄貴がつけたってきいた」
「なんか拾われる前に記憶ないらしくてなぁ」



A君の方がもっと壮絶だった。


「たまにわからなくなる」
「当たり前のようにいた兄貴がいない」


マイキー君の言葉に耳を傾ける。


「それがどういう事なのか理解できなくなる」
「そういう時はいつも頭が真っ白になって」
「右も左も上も下もわかんなくなっちまう」
「何が正しくて、何が間違ってんのか」


「…マイキー君」
「(マイキー君はわかってるんだ)」
「(このままじゃ自分がおかしくなっちゃうって…)」
「(深い闇を抱えてるって)」


マイキー君は見かけた公園にバイクを止め、二人で歩く。
歩きながらマイキー君が口を開く。


「兄貴は暴走族のトップだったくせに」
「喧嘩が弱くて、よくAに怒られてた」


「え!?嘘!?」


マイキー君のお兄さんだから同じくらい強いのかと思っていた。


「メッチャ意外なんスけど!!」
「マイキー君のお兄さんが!?」


「ハハ」と笑うマイキー君だが、少し思いつめたような表情になって言葉を続けた。

33-2 タケミチsaid→←プロフィール



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作者名:倖那 | 作成日時:2021年10月21日 20時

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