片手のないあの子【東リベ】2 (ページ43)

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「ボスは、ああ見えて熱心なクリスチャンでね」
「12月25日(クリスマス)の夜は毎年、教会に礼拝に行く」
「必ず一人でね!」

「なるほど」

「……そんだけか?」

「ああ、十分だ」

稀咲がそう答えると、九井は四人に

「たとえ一人でもボスは強ぇぞ」
「テメェら4人で勝てんのか?」
「12月25日(クリスマス)が楽しみだな」

九井はガチャと扉を開けた。
去ろうとする九井にタケミチが声かける。

「なんで大寿君を裏切るんスか?」

「オレは強ぇ奴が好きなだけだ」
「もっと知りたきゃ」
「あと10万用意しな」

九井はそう言い残してその場を後にした。

「……何をしようとしてるかは想像つくが」
「総長(マイキー)には言わないでやる」
「相談くらいなら連絡すればいつでも」

「あと」と振り返りながら、タケミチを見る。

「タケミチ」
「あとで時間取れるとき、連絡よこせ」

そう言ってむさ苦しいその部屋を後にした。

「(今度の標的は"黒龍(ブラックドラゴン)"と"八戒(アイツ)"あたり、ってとこか)」

あの二人一組の二組が組むのは意外だったが、裏があると踏んでいる。

「(あの場にいたのも大方"アイツ"の仕業だろうな…)」
「(12月25日(クリスマス)か…今年もやるんだろうな…)」
「……弱ってはねぇが、人によってはそう見えるだろうな」

カランと飴を鳴らしながら帰り道を歩いていると、ケータイが2度ほど震える。
画面を見ると、メールが2件ほぼ同時に届いており、一つはタケミチ、もう一つは――…。

「12月25日(クリスマス)前は忙しいな…」

すっかり暗くなった空を見上げる。

「さて、準備しないとな」

メールをくれた二人に色々聞かないとな…。