ten… ページ12
カタカタと、文字を打つ音が静かな回収課のオフィスに響く
報告書はその日のうちにやってしまわないと溜まっちゃうからね。金髪でチャラチャラしたどっかの誰かさんみたいに、なんて。
オフィスには私以外誰もいない。
もうあとの2人を除き、皆帰ってしまった
グレル先輩は謹慎が解けて早々、何やらうきうきしながら仕事へ向かってしまった
ファントムハイヴ伯爵の屋敷だそうだ。
.
そこまで考えてから、あの悪魔を思い出してしまった
(あー…もう…。)
なんであんな奴を思い出してしまったんだろう…
.
あいつはきっと覚えていない
でも私は覚えてる
鮮明に、残酷に。
.
時というものは心の傷を癒してくれるとは言うけれど。
私の傷は、きっと治ってくれない。
深く、深く、心の奥まで抉れたこの傷……
.
.
最愛の人を、亡くしたということは。
悪魔、セバスチャン・ミカエリス…
あの時は、ローヴェ、と呼ばれていた
あいつは、“彼”を殺した
あいつにとって、“彼”は邪魔だったから。
私を狙えば、必ず“彼”は私を庇う。
そう分かっていて、あいつは私を狙った
.
.
頬に生暖かいモノが伝う
−−…涙。
それで、自分が泣いていることに気が付いた
と、そこへロナルド先輩やグレル先輩が帰ってきた
慌てて涙を拭い、何事もなかった様に笑顔を向ける
「お帰りなさい、ロナルド先輩、グレル先輩。お疲れ様です」
「っ…！」
「んもぅ、ホントよ！折角ファントムハイヴ家の屋敷に行ったのにセバスちゃんはいないし…」
ロナルド先輩は私の顔を見て何かに気付いたみたいだった
勘づかれたかな…？
グレル先輩はいつも通り、最近ご執心なセバスちゃんもとい悪魔に会えなかったことを愚痴っていた
トントン、と肩を叩かれ振り向くと、ロナルド先輩が立っていた
いつになく真剣な、心配そうな顔をしていた
「Aちゃん、どうしたの？」
グレル先輩もいるので、私を気遣ってか小声で聞いてくる
「いえ…何も…」
「泣いてたでしょ？」
「っ…！」
やっぱり、気付かれてた
「ここじゃあれだし、今日良かったら俺んとこ来ない？話、聞くよ」
「え、でも…」
男の人の部屋なんて…
「だーいじょうぶ。何にもしないって。相談乗るだけ。ね？」
心配そうな笑顔に、つい頷いてしまった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 65人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ディー＆ダム(プロフ) - 誰がしゃべってるのか分からないので、分かるようにしてもらえるとありがたいです! (2017年4月21日 0時) (
レス) id: 9c7bed322d (このIDを非表示/違反報告)
Franchesca Vargas(プロフ) - 紅音さん» あ、すみません、誤りです。指摘ありがとうございます。 (2015年8月4日 16時) (レス) id: f8bff1b8fe (このIDを非表示/違反報告)
紅音 - 死神の鎌はデスサイズだと思うのですがそれは仕様ですか？デスソードだと、死神の剣的な意味になってしまうかと (2015年8月4日 14時) (レス) id: deb0cf5f02 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらる(プロフ) - ろねすていさん» ありがとうございます！頑張りますね (2015年7月8日 17時) (レス) id: 0b6b3773a2 (このIDを非表示/違反報告)
ろねすてい(プロフ) - 応援してます。頑張ってください！ (2015年7月7日 20時) (レス) id: aaf983f5d9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Francesca Vargas ＆ ゆらる | 作成日時：2015年6月13日 17時
