【歌い手】私の全てを受け入れて。ver.A【大型コラボ】 (ページ10)

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【うらたぬき】愛に溺れて/Elice ページ10

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『…まだかなぁ、渉君。』

家主のいない部屋で、彼の帰りを待つ。
相変わらず溜っていた洗濯物は全部失くしたし、洗い物もしてご飯も作った。
お風呂掃除だってしたし、掃除機だってかけた。多分家事はすべて終わっているはずだ。

『早く……帰ってこないかな。』

あとは、彼が帰ってきてこの状態を見て褒めてくれるのを願うばかり。
凄いじゃん、えらいなって、いつもみたいに撫でてほしいのに
帰れる―そう言ってからだいぶ時間がたっている。

「ただいまー」

ガチャリと鍵が開く音と同じくして聞こえた愛しい人の声が聞こえる。それを聞くやいなや駆け足で出迎えにいけば疲れたー…といいながら靴を脱いでる彼の姿が。

『渉くん、おかえり！』

「ん、ただいま。」

『んへへ』

「なんだよ…そんなににやけて。」

『別にー？』

ポンポンと頭を撫でてくれる渉くんの荷物をもらう。新婚みたい……なんてね。そんなことを考えていたらリビング方を見て何かを嗅いでいる彼の姿が。犬みたい、なんて思っても言えないよね。

「腹減ったーめっちゃいい匂いするじゃん。」

『今日は頑張ってハンバーグ作ったよ！』

「マジで！？すごいじゃん、A！めっちゃ嬉しい！」

あたりに花を咲かせそうな笑みを浮かべ、早く！と私の手を引いてリビングに向かう渉くん。何て言うか…やっぱり可愛いな。くしゃって笑う彼が好きだ。

『……だいすき』

「何か言ったか？」

『ううん、何もいってないよ！早く食べよ？』

だいすきが溢れてきて、思わず口からこぼれた。それを誤魔化すようにキッチンに向かった私は、耳がほんのり赤くなって顔に手を当てている渉くんなんてもちろん見てないし

『あれは……反則だろ。』

何て言っていたことも、もちろん知らない。
自分でも熱くなった頬を鎮めるのに精一杯だったしね？