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夜ご飯は二人で作った。そろそろ、と動き出した私に合わせてそのまま覆い被さっていた坂田くんに、お手伝いを命じた結果だ。
「坂田くん、割と邪魔」
「えーーだってAと離れたくないねん」
「ごめんそこのキッチンペーパー取って」
「・・・・・・・あっ、はい」
そんなこんなで出来上がったのはアジフライとポタージュ。まだジャーに残っていた朝の残りのご飯をレンジに突っ込み坂田くんの方を振り返ると、察したようにテーブルのセッティングに行ってくれた。
「ありがとう、助かる」
「Aー、このソースきれてるでー」
「あっはい」
盛り付けが完了したプレートから食卓に持っていく。朝と同じように手を合わせ、フライを口にはこ「えっめっちゃうまい!!!」
「・・・・・・それはよかった」
「なにそのリアクション」
「ううん何でも」遮られただけ、と小さく言って、固まっていた箸を動かす。うん、これは上手くできた。
ポタージュを飲む。とろとろとしたその味の柔さは、今日を表しているような気がした。
ご飯は食べた。食器は洗って、風呂も入った。
「・・・・・・寝たくない、なあ」
「はは、ベッドに寝転がってなに言ってんの」
すぐ隣に横になった彼が、まだ湿っている私のセミロングをすいた。さらさらやな、なんて呟く。
「寝たら何か、終わっちゃう気がして」
「終わる?」
「何もないけど幸せだった今日とか。坂田くんがあったかかったこととか。日だまりも同じように気持ちよかったこととか。今日が終わったら、終わっちゃうじゃん」
「なぁーに変な心配してるん、だーいじょうぶや」
不思議な韻の踏み方に少し笑いがこみ上げる。
坂田くんの手が撫でる手つきになった。気持ちいい。
「今日が終わってもなくならんやろ。俺とAはずっと側におるんやし。来週の休みもだらだら過ごそ、んで今日みたいに幸せでいようや」
二人で。
そう、聞こえた。
「・・・・・・・・・・・・へへ、うん」
「おい何笑ってるん」
「なんかプロポーズみたいだなって。おやすみ」
そう言ってそっぽを向き、布団を被る。焦った声が後ろで聞こえるけれど気にしない。
「まぁったくもう・・・おやすみ」
私がもう寝たと思ったのか、後ろから抱きしめられ、彼も寝る体制に入る。
「・・・・・・おやすみ」
囁くような小さな声で、もう一度。
クサい台詞は苦手だけど私を安心させたかったってこと、ちゃんとわかってる。
そんな彼と迎える明日の朝は―――きっと、今日と同じように温
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関西風しらすぅ@坂田家(プロフ) - めっちゃ好き……遅れてすみません…大型コラボおめでとうございます… (2019年11月15日 20時) (レス) id: 101a3e5494 (このIDを非表示/違反報告)
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