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鬼神のまふに対して恋情がない。
それは嘘であった。

初めはただ敵対する悪鬼祓いと鬼神であった。
だが、今はどうしようもなく彼の熱を求めてしまう。


「A、何も知らなくていいよ。もしもAの両親とまた会ったとしてももうAの親じゃないから」

「うん。私にはまふだけだから」

「ボクとAなら、絶対に人間と鬼が共存出来る世界に出来るから」

「当たり前でしょ」


ベッドに二人で顔を見合わせながら寝そべる。
今までは一人で冷たい真っ白な無機質なものに寝ていたものが。彼と一緒に居ることによって温かみが違う。全てが温かくて、色が着いている。

小さなリップ音と共に私の唇に彼の唇が重なる。
鬼とは言えど、見た目は人間と変わらない。


「ねぇ、」


熱を持った声が吐息と共に耳元で囁かれる。
私の上に跨る彼の瞳は熟した柘榴のようにギラついていた。
きっと、この先は、ダメだ。

頭では分かっているが、それを受け入れようとしている自分が居る。

するりと私の首筋に細い角張った指が這い、やがて白い巫女服の上から羽織っている千早を剥いで、さらに白衣の襟を、緋袴を──と乱れていくその服と、鼻から抜ける嬌声が響いた。

時に苦痛に歪む顔を、彼は愛おしそうに眺めてきた。けれど、その表情が私にとっても堪らなく愛おしかった。


*・*・*


人間と鬼が共存出来る世界を望んでいた。
望んでいる内に一人の悪鬼祓いと出会い、恋に落ちてしまった。

ボクは人間が喜ぶ姿が好きではあるが、彼女と出会った瞬間、彼女の苦痛に歪む顔を見たいと鬼としての本能が出てしまった。
だが、笑顔も見たい。そんな矛盾を抱えたまま、彼女を自分の物にしたい、と言う独占欲に塗れる。

自分が取った行動が合っているかなんて鬼のボクには分からない。
彼女の弱っている所に漬け込んで、そうして彼女がボクから離れられなくする事を選んだ。

けれど、彼女を愛していることには変わりない。

彼女を守るのはボクだけでいいし、彼女が見るのはボクだけでいい。
例え歪んでいようと、Aだけは誰にも譲らない。

蕩けた表情で、瞳を潤ませるAの額に口付けをする。
どこまでも愛おしくて、どこまでも可愛らしい。
鼻から抜けるような嬌声も、潤んだ瞳も、快楽を求める身体も、必死にシーツを握る白く細い手も。

全てが愛おしいのだ。



歪んだボクの
そのを更に歪ませる私。


鬼はどっち?

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関西風しらすぅ@坂田家(プロフ) - めっちゃ好き……遅れてすみません…大型コラボおめでとうございます… (2019年11月15日 20時) (レス) id: 101a3e5494 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*作者一同* | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年8月18日 18時

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