【歌い手】私の全てを受け入れて。ver.A【大型コラボ】 (ページ4)

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まふと出会って、鬼が全て悪い鬼では無いという事がわかった。
だから、私は問答無用で鬼を祓うことを辞めた。鬼にも心がある。鬼の思いを無下にしてはいけない。

そう思えるようになり、鬼と話をして、そうしてその上で共に生きていくことを確約するのだ。
腹が減れば各地に居る私達が赦した鬼神の所へ行け。そう約束すれば鬼と人間の間で災いが起こることは無い。

だから今日も鬼と話だけでも。それで駄目なら祓うしか、と思っていたのだが。
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｢A、？｣

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何故鬼を祓う筈なのに私の両親が居るのか。
私を生け贄にするだけのために育てて来た両親が。
母は目を大きく見開き、父は私の隣に立つまふに刀先を向けていた。
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｢…刀を下ろして｣

｢いいや、A。今すぐこっちに来なさい｣

｢A？鬼に何か吹き込まれたのね？早く戻って来なさい｣

｢嫌よ。絶対に戻らない。父さんも母さんも私を生け贄にするために育ててきたんでしょ！｣
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声が震えそうになるのを必死に抑えながら力の限り叫ぶ。大好きだった、愛していた。
心の底から愛していた。産まれた時から私の両親で、最愛の二人だった。
けれど、今は違う。
私にはまふがいる。いくら鬼でも。彼だけは違う。
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｢A、下がって｣

｢ううん。ちゃんと、ちゃんと話さなきゃ。鬼が悪い鬼ばかりじゃないって｣

｢何を言っているの？鬼は人を喰らうのよ。その鬼だってそう｣

｢彼はただの鬼じゃない。鬼神よ。もしも彼が人を喰らう鬼だったとしたなら何で私は生け贄として捧げられた日から生きて来られたと思うの？彼が善良な鬼だからよ！彼は私を愛してくれる！私を、私を…一番に認めてくれるのッ！｣

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ボロボロと涙を流しながらそう叫べば、ふわりとまふに抱き寄せられる。
黙って頭を撫でてくれるその優しさが私の在り所なのだ。

両親は生け贄としてではあるが私を育ててくれた。ずっとずっと大切にしてくれた。けれど、それは生け贄として捧げるために。けれど、けど──と葛藤がぐるぐると頭の中を埋め尽くして行く。

───ボクは、Aだけを愛するよ。二人で、生きて行こう？

優しくそう言われて、私には断る理由なんて無かった。両親が何かを言うが聞こえない。聞きたくもない。

私にはまふだけだから。
人間と鬼なんて関係ない。
人外と人間の愛に違いなんてない。同じ｢愛｣であるのだから。

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｢私は、まふが───｣