【歌い手】私の全てを受け入れて。ver.A【大型コラボ】 (ページ26)

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寝ているとガタンッ、という物音がした。

そして体になにかが乗っかってきて目が覚めた。

真っ暗でなにも見えないが、私にはそのなにかがなにであるか知っている。

『どうしたの、天月。』

天月｢……。｣

天月は黙っていてなにもしゃべらない。

ふと顔に落ちてきた冷たい水。

『……天月、どうして泣いてるの？』

｢……だって、｣

私の上にいる天月はぐずぐず泣いていた。

眉間にシワを寄せ、唇を噛み締めて。

『なんでも思ってることは話すって約束したでしょ、話してみてよ。』

｢……こわいの。｣

Aさんが離れていかないか怖い。

誰かに取られちゃうんじゃないかって。

僕にはAさんしかいないの。

必死に溢れてくる涙を堪えようとしながら天月はそう言った。

つまりは不安になったということだろう。

｢ねぇ、どうすれば、Aさんはずっと一緒にいてくれるの？

閉じ込めちゃえば良い？

ずっとずっと、一緒にいたいの。

離れていかないで。｣

私の首にかけられた手は、少しずつ気管を絞めていった。

呼吸がしづらい。

どんどん意識が朦朧としていく。

天月の姿もぼやけてきた。

『はな、れ、てかな、、ぜ、たい、』

天月｢うそ、みんなぼくからはなれる。｣

絞める力が強くなった。

もうそろそろブラックアウトしそうだ。

『あま、つ、き、、、きい、て、』

｢やだ、別れるっていうんでしょ。｣

『い、わな、から、』

最後の力を振り絞って天月の首に手を伸ばす。

そのまま自分のほうに寄せてキスをした。

かなりギリギリの状態なので唇を重ねるぐらいしか出来ないが、聞いてくれないのなら行動に移すしかない。

徐々に天月の手の力も抜けてきて一気に空気が体内に入り込む。

一気に入りすぎてむせてしまった。

喉がイガイガするし、まだ呼吸も整ってないが目の前のボロボロの彼を抱き締める。

『わたしは、はなれない……』

天月の前から消えないよ。

だから泣かないで。

ゆっくりでも届くように。

正直本当に危なかった。

それでも天月を責めることは出来ない。

｢Aさん……ごめんなさい。｣

『だいじょうぶ、だよ。』

まだ声もちゃんと出ないし、少しむせている。

こんなになっても許してしまうのは、やはり天月が好きだからなのだろう。