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『んぅ…………』
「眠い?」
『んー………』
時間はすでに日付が変わるくらいだろうか。俺も少しだけ眠いが、夜に弱い彼女はそれ以上だろう。ただ、ここからは俺が自分自身と戦わないといけない。なんたって、眠いとぐずりだしたAは色々とヤバいのだ。
『わた………ぎゅーして』
「はいはい」
これくらいならまだいい方だ。伸ばされた手の、脇の下に自分の腕を滑り込ませて少し力を入れて抱き締める。ついでにあやすように背中を叩けば満足そうに笑ってくるから色々とまずい。これは今日はダメ、寝かしつけないとダメ。
「ん。寝るか。」
『えー……』
「えーじゃねぇよ、眠いんだろ?」
『そ………だけど………』
半分以上夢の中にいるだろう彼女を抱き上げて寝室に向かう。俺たち2人なんて余裕ではいるくらいの大きなベットに彼女を寝かしつけ、首に回された手が離れないから俺もその隣に寝転がる。
『んー……そばいて……?』
「はいはい」
『ありゃと………ねぇ、わたる』
「ん?」
『ずーっと、一緒だよ』
約束、なんて小指を出してくるAはホントに卑怯だと思う。俺がこんなにも我慢してるのに。すでに鞄には小さな白い箱が眠っていて、その出番を待っているのに。愛しい愛しい俺の彼女………
「あれ、A?」
『すぅ…………』
「寝ちゃったか。かわい。」
申し訳ないけど、俺もまだやることあるからさ。ごめん、って寝ている彼女の腕を外して代わりにやまだぬきを抱かせておく。さらりと、彼女の髪と頬を撫でて、その額にキスを落とした。
「おやすみA……愛してる。」
君に溺れそうなくらいに、深く深く君を愛してるから。
君ももっともっと、俺に溺れてね。
「溺れさせてやるからな……誰にも渡さねぇ」
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関西風しらすぅ@坂田家(プロフ) - めっちゃ好き……遅れてすみません…大型コラボおめでとうございます… (2019年11月15日 20時) (レス) id: 101a3e5494 (このIDを非表示/違反報告)
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