you ページ7
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いい曲が聴けてほくほくしながら店に帰ると、オーナーが待ってましたと言わんばかりに私に駆け寄り「はいお駄賃」といくらかお小遣い(臨時給料)を渡して砂糖が入った袋を受け取っていった。
今日も何事もなくバイトが終わりった。
お疲れ様でした〜、とオーナーに声をかける。
そういえば昼間に街で聴いたあれ、なんて曲だったんだろうな〜。
そう思いながら店を出て少し歩いたところで、背の高い男性と肩がぶつかり、
「ひょえっ!!!」
すっとんきょうな声を上げてしまった。
その男性の顔を見上げると、そこには、
「な〜んだ。ジョングギか〜」
そこには高校からの同級生で大学の同じ、高身長に運動神経抜群で甘いフェイスの持ち主、チョンジョングクが立っていた。
「なんだってなんだよ。Aがこれ持ってこいって言ったんだろ」
そう言ってジョングクが私の前に片手で掲げたのは、研究室で使う大事な資料が入ったUSBだった。
研究室が同じジョングクはこないだ私が熱をだして休んだ時の資料を、USBにまとめて持ってきてくれたのだ。
ありがと〜、とそのUSBに私が手を伸ばすと、ジョングクはそれを持つ手を高く上に上げた。
「えっ、何すんの」
USBを渡そうとしないジョングクが、にやりと笑う。
「Aさんには俺が欲しいもの、何かわかるかな〜?」
人を小馬鹿にしたようにいってくるジョングクは、その高身長を生かしてUSBを私に取らせまいとしてくる。
くそ、綺麗な顔しといてこいつは〜〜〜〜〜。
「わかったよ!!!もう!!!!いつものやつ奢ればいいんでしょ!!!」
いつものやつとは、スタバのなんちゃらフラペチーノ。
いつもこいつは新作をねだってくるから、なんちゃらのところに入る名前はいつも違う。
わかってんじゃん、とUSBを私の手にようやく乗せたジョングクの顔は、いたずら小僧のそれだった。
ほんっとこいつにはかなわないわ〜。
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作者名:yurameku | 作成日時:2020年6月29日 15時