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you ページ49

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ホールから出たところで、HOPE-WORLDのメンバーが簡単な握手会をしていた。
私はジョングクの許可を貰ってそれに並んだ。

ホソクさんと握手ができ、浮き足だったままジョングクの元へ行こうとするが、さっき居た場所に彼がいない。

観客がほぼ会場からいなくなったところで、ようやく彼と再会できた。


どこに行ってたの、とジョングクに聞くと、トイレ、とただ一言答えるだった。





「いやあ、すごかったねぇ」

私はジョングクと会場をあとにし、駅に向かって歩く。


まさかユンギさんが出てくるなんて、と呟くがジョングクは何も言わない。


先ほどの演奏の感動に浸っているのかと思い、ジョングクの顔を見上げると、彼は視線を下に落とし唇を噛み締めていた。
悔しそうな、苦痛に顔をゆがめているような彼に私は慌てて声を掛ける。


「どうしたの? お腹でも痛いの?」


ジョングクの顔をのぞき込むと、彼がぽつりと呟いた。




「・・・・・・ねぇ、Aはさ、






ユンギヒョンのことが好きなの?」




私はそれを聞いて、顔が熱くなる。


「な、なによ突然。なんでそんなこと聞くの?」

慌てて取り繕うとするが、上手くいかなかった。
ジョングクはそんな私の反応を見て、何かを悟ったような目をした。


そのまま彼が私に一歩歩み寄った。
少しずつ狭まる彼との距離に驚き、私は後ずさる。

「え、何? どうしたの?」

一歩一歩と下がると、後ろには壁。
ビルとビルの隙間の路地裏で、イベント会場から出た時間が遅かったこともあり、周りには人が居なかった。

壁に私の背中がついたところで気が付く。


おかしい。ジョングクが変だ。




気付いたときには彼の手が私の両腕を捕らえていた。絶対に逃がさないという意思が、その手に込められた力の強さから窺えた。


「なに?ジョングガ、痛いよ」


離して、と彼に言うけれど、彼の目は私を捕らえたまま動かない。

彼の目の奥が暗かった。
彼と目が合っているはずなのに、彼がどこを見ているのかわからないような、そんな感覚を覚えた。

そこで彼の感情の末端が見えた気がした。


怒り、失望、悲しみ。


あらゆる負の感情が入り乱れているのを感じた。

その迫力に圧倒され身動きができずにいると、彼は言った。






「・・・・・・どうして? どうして俺じゃないの?」






その意味を理解する頃には、私の視界はジョングクの顔で覆われていた。




彼が自分の唇を私のそれに押しつけたのだ。



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作者名:yurameku | 作成日時:2020年6月29日 15時

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