jungkook ページ46
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「･･････なるほどね。それで俺に相談しにきたわけね」
ジミニヒョンはさすがに笑っていなかった。真剣な表情で、俺の話を相槌を打ちながら聞いてくれた。
「じゃあやっぱり、ジョングギはAちゃんのことが好きなんだ？」
その手の質問は普段なら違うと大きな声で否定していた。でも今はそんな気力もない。
というより、自分のAに対する気持ちに気付かざるを得なかった。
あの二人の仲睦まじげな様子を見て、ここまで心が揺れている自分がどうしようもなく惨めで吐き気がした。
「ああ、そうだよ。好きだよ」
だったらなんなんだ。俺が何をしたっていうんだ。
俺はずっとAの傍にいたのに。
ぽっと出のよく分からない男にAの何が分かるんだ。
俺はAの好きな食べ物も色も景色も音楽や映画の趣味だって、なんだって知っている。
彼女の笑顔も怒った顔も泣き顔だって、全部俺はすぐ横で見てきたんだ。
彼女の隣に居るのはいつだって俺だったんだ。
ようやく自分の気持ちを認めたんだね、とジミニヒョンが呟いた。
「それなら行動するしかないんじゃないの」
簡単に言ってくれるな。
「だって今動かないと、ユンギヒョンに大好きなAちゃんを取られちゃうよ」
そんなことわかってるんだ。
「分かってるだけじゃ駄目だ。彼女を理解しているだけじゃ、何も始まりはしない」
その結果がこれだろ？、とヒョンは言った。
「そうだよ。俺は何もしなかった」
いや、何もできなかったんだ。
彼女が俺の隣で笑っているだけで満足していた。
高校時代から色恋沙汰に縁がなかった彼女は、たまに男に誘われても上手くいった例しがなかった。
それは心のどこかで、俺を受け入れているからじゃないか、そう思っていた。
でも結局、全部ただの俺の自惚れだったわけだ。
彼女は最初から、俺のことなんて見ていなかった。
そんなの薄々気が付いていたのに。
「じゃあそれでジョングギは諦めるの？」
諦められるの？、ジミニヒョンがそう言い直した。
「諦められたらいいのに」
小さな声で呟くと、ヒョンは言った。
「それならやることはもう決まってるな」
ヒョンが手を組みながら机に両肘をつき、前のめりになって言う。
「Aちゃんに自分をアピールするしかないよ。
もちろん今までとは違ったやり方でね」
俺はヒョンの言葉に頷くことしかできなかった。
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作者名：yurameku | 作成日時：2020年6月29日 15時
