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来た道を戻り、バス停へと行く。

次のバスが来るまで一時間近くあるのだけれど、いかんせん霊園の周りには何もないので暇つぶしができる場所もない。

日除けのあるバス停で、一人でバスを待つのがいつものことだった。


でも、今日は違った。



「あ・・・・・・」



バス停のベンチに誰か座っている。

心当たりは一人しか居なくて、先ほど自分がやったことを思い出す。


ティッシュを渡してすぐの時はいいことやったなんて思ったけど、見知らぬ人から急に(駅前のティッシュ配りとかとは違って)ティッシュを押しつけられたら気味が悪いよな。

勝手に一人で気まずくなり、やっぱり別の場所で時間をつぶそうかななんて考えて、後ろを振り返ろうとしたところで、バス停の先客と目が合ってしまった。




げ。



バイトのせいで少し日に焼けた私とは対照的な真っ白な彼は私に気付いたあと、座っていた場所を少し横にずれた。


あ、私が座れるスペース空けてくれたんだ。



それに気付くともう座るしかなかった。


ベンチの彼の横に腰を下ろす。
小さなバス停のさらに小さなベンチは二人も座るとかなりお互いの距離が近く感じた。


バスが来るまであと四十分、このまま無言で過ごすのはきつい。


そう思った私は、必死に話題を探した。頑張れ私のコミュ力。



「あのわんちゃん、名前なんていうんですか?」


ない頭をフルに回転させて絞り出した話題がそれだった。
写真に写っていた犬はきっと生前は彼の愛犬だったに違いない。


私の質問に全く動揺せず、前を向いたまま彼は答えた。



「テヒョン」



そう言った以外、彼の口は動かなかった。


おい、一言だけかよ。


男の子だったんですね〜、なんて言って見るけど、話は膨らまないらしい。

まぁさっきこの人泣いてたし、きっと愛犬が亡くなったばかりでまだ悲しんでいるんだろう。

そう勝手に解釈し、彼の口の少なさに納得する。


そのまま喋らずに十分近く経過した頃、


「あんたは」


突然彼の方から質問をふってきた。

でも私はその質問の意味がわからなくて、きょとんとすると彼がこちらを見てもう一度聞いた。


「あんたのペットの名前は?」





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you→←you



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作者名:yurameku | 作成日時:2020年6月29日 15時

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